2022-01-01から1年間の記事一覧

金子みすず「土と草」

金子みすずの詩に下記のようなものがある。 草の子どもたちは土に育てられる。それでも、草があおあおと育つ頃には土は隠れてしまう、と。 人間の子どもたちも、大地のようなものに育てられるべきだろう。社会と言ったらいいのか。まあ、身近なところでいえ…

親戚の子

アメリカの、里親の出てくる小説を読んだ。来たばかりの子どもとともに、その家の実子と小学校に向かう。友人たちが実子に聞く。どこの子かと。親戚の子だと紹介する。 それと似たことが、我が家の子どもにも起こった。20年近くも前のことである。 電車に乗…

辻仁成著『真夜中の子供』を読む。

福岡、中洲で生まれ育った無戸籍少年の物語だ。巨大な歓楽街で、酔っ払いの大人たちはいるが(それとお店で働く人)、子どもはいないといっていい。そうしたところで暮らし、さまざまな体験をしていく。 児相も出てくるが、そんなには出てこない。ある警察官…

熊谷県知事(千葉県)、頑張れ

「子どもの家庭養育推進官民協議会」、地方自治体の知事と民間事業者が一緒になって、里親委託を推進していこうと発足した。初代会長は三重県の鈴木知事。で、副会長には、当時全国里親会の副会長をしていた私がなった。 全国里親会の副会長をやめてからはオ…

性別変更後の親子関係

女性に性別変更した元男性が自分の凍結精子で女性パートナーとの間にもうけた女児2人のうち性別変更前に生まれた長女の認知を認めたものの変更後に生まれた次女の認知は認めない判決を東京高裁が行った。 しかし元男性と女児2人にはDNA型鑑定では親子関係は…

『命のバトン』再放送

予期せぬ妊娠と特別養子縁組を扱ったドキュメンタリードラマ『命のバトン』の再放送が決まったという。ドラマのなかでは、ベテランの養育里親も重要な役で登場するとか。 ★『命のバトン』再放送:8/30(火)NHK総合 午前2:11~3:51<月曜深夜> https://www.…

特別養子縁組 最近状況

令和2年度の特別養子縁組の人数は693件。前年は711件だったので、伸び悩んでいる。2017年度の「新しい社会養育ビジョン」では概ね5年以内に現状の500件から1000件にしようと打ち出したが。 ここにきて、特別養子縁組に関する考え方が大きく変わった、と言え…

児相元職員が県を提訴

里親が生活のなかから制度の矛盾を訴えるなどは、頑張っても新聞の地方版。いわゆる地方版ネタということになる。しかし逆にいえば、地方版にはそういうネタがあふれている、ということになる。 8月13日の産経新聞、地方版に「児相元職員、県を提訴」の記事…

里親委託解除は憲法違反か(千葉県市川市)

毎日新聞の地方版(7月29日)に「里親委託解除は憲法に違反」しているとして千葉県市川の里親夫婦が県を提訴したとの記事。地方版では読めない、という人もいると思いここで紹介する。 子どもの前で口論したことを理由に県が里親委託を解除したのは、幸福追…

宗教2世問題

安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件を受けて、親の信仰に伴う悩みや困難を抱えた宗教2世の存在が改めて注目されている。経済問題以外に信教の自由、人権上の問題もある。 ところで、子どもの福祉の世界でも宗教は無視できない。施設や里親のあり方も。必…

里親への平均委託期間

映画『1640日の家族』で、1640日というのは何か月かと考えた。約4.5年。 それは、日本で5年ごとに行われる『児童養護施設入所児童等調査』の最新調査(平成30年)で確認すると、里親に委託される子どもの期間と同じだった。調査では4.5年。 里親への委託期間…

自民党と女性認識

自民党と女性認識という本が出ている。やっぱり自民党の体質か、と思ったが、昨日の東京新聞だったか、勝共連合と自民党の癒着らしいことが書いてあった。 統一教会の政治部門である勝共連合、という書き方をしている。こども庁がこども家庭庁になった背景に…

子どもの「出自を知る権利」を実現しよう

児童福祉法に子どもの権利がうたわれても、なかなか実現することは難しい。そういうものの一つに「出自を知る権利」の問題がある。 子どもに恵まれない人のためにと、代理出産ビジネスがあって、代理母を仲介する企業もある。日本産科婦人科学会は、出自を知…

外国にルーツを持つ子どもの支援

里親に委託される子どもで外国にルーツをもつ者がどの位いるか調べてほしいと厚生労働省に要望したことがあるが、そうした動きはない。実感レベルでいえば、かなり多いように感じている。 新聞報道でも、国内に日本語指導の必要な子どもが5万にのぼるとの記…

障害のある子どもを養育している里親に

一般の子どもに比べて、里親家庭で養育している子どもには、発達障害などが多いように感じる。虐待を受けた子どもたちにも発達障害に似た症状をみせることがあるという。 発達障害はスペクトラムと呼ばれるように、やや症状がある、かなり症状が顕著、という…

日本の子どものアンバランス

ユニセフの行った子どもの幸福度に関する調査によると、日本は38カ国中、精神的幸福度は37位、身体的幸福度は1位とのこと。なんだかなあ。

映画『1640日の家族』試写会に行ってきた

「里親と息子の幸せな日々に、突然訪れたタイムリミット。彼らが選んだ未来とは――。フランスを涙で包んだ実話に基づく感動作」とチラシにある。「大切なのは、愛しすぎないこと」ともある。 赤ちゃんから養育してきた男の子が、実父と暮らすようにと言われて…

多胎育児

多胎育児の困難さに関心が集まっている。東京都内バス路線の大半で、主に双子が使う2人乗りベビーカーがたたまずに乗せることができるようになった。 東京以外ではどうなのだろう。 育児面での改善というのは、ほんとうにわずかずつ、だなあと感じざるを得な…

育児法

『自己肯定感ハラスメント』という本がある。スポーツドクター辻秀一さんの新書だが、養育で、褒めて自己肯定感を養おうとするが、それは逆に苦しめることになるという。褒める人に依存したり。まだきちんと読んだわけではないが、自己存在感を養うことが大…

子どもとの別れ

養育里親には別れがつきものである。子どもは実親の元に帰ることになる。短期間か長期にわたるのかはともかくとして。 預かっている間、子どもを愛することは大事で、子どもも愛着行動をする。 里親になる時の研修で、この辺の問題をしっかりやってほしいと…

映画『1640日の家族』が7月29日から公開される

フランスの映画、『1640日の家族』が7月29日から公開される。 生後18か月の赤ちゃんを預かった里親の家庭。実子と兄弟のように育つが、4年半後、実父から手元で育てたいとの申し出が。なんだか沖縄の一件に似た話のようだ。監督が子どもの頃に両親が里子を迎…

調査委員会の中間報告 沖縄の里親委託解除に児相の問題を指摘

沖縄で、生後2カ月から5年間養育してきた里親が、急に委託解除になるのはおかしいと指摘してきたが、外部有識者による調査委員会が作られ、このほど中間報告が出た。 それによると、県の福祉行政について「子どもを権利主体としたソーシャルワーク、組織マネ…

保護児童の奨学金

ある里親家庭の子どもが高校を卒業して上位校に進学するのに「文部科学省の奨学金が充実してきているよ」と教えてあげた。手続きは高校が対象児童に申し込み方法を教えて、申請を済ませたら、次からの手続きは高校が行う。ところが、高校の先生も忙しいのだ…

特別養子縁組を考える

数年前、ある研究会の打ち上げで厚労省の職員と話す機会があった。特別養子縁組の話になって、基本は民間事業者にお願いする、のだという。 いま、多くの事業者は、養子縁組希望の里親として登録し、行政の行う研修も受けてもらいたい、としている。 もちろ…

携帯型里親登録証を作る動き

今年3月に、厚生労働省から各自治体に、携帯型の里親登録証を作るように通知文が出た。さすがに厚労省だなと思ったのは、自治体に携帯型里親登録証を作る動きが出たことだ。 とくに多額の経費が必要なものではなく、その気になれば作れるもの。しかしなかな…

未委託里親が増えている

里親に関係するいろいろな役員やアドバイザーなどをご辞退したが、全国里親会の「里親だより」だけは、広報アドバイザーという肩書で続けている。といってもあと1号か2号だろうが。 5月20日号ができた。私は福祉行政報告例から、養育里親の都道府県ごとの動…

NPO法人ペット里親会

埼玉県に「NPO法人ペット里親会」がある。犬猫の保護をしている、動物愛護団体だという。虐待の疑いで問題となった団体から数百匹を受け入れたため「下請け愛護」などと呼ばれているとか。 犬や猫と人間の子どもを一緒にするのはけしからん、という里親がい…

藤林武史さんへのインタビュー記事

今日の朝日新聞に藤林武史さんのインタビュー記事があった。大きなスペースを割いている。 平成27年当時、児童福祉法改正原案を作る過程でずいぶんとお世話になり、勉強をさせていただいた。お茶をしている時に、私が千葉県の市川・国府台に住んでいるという…

里親委託、親権者の同意が必要か

児童福祉法の改正で、社会的養護の基本は里親委託となった。これは子どもの権利条約を背景に作られたものだ。 ところが最近になっても、実親の許可が取れないから里親委託はできない、との声を聞いた。多くは、児相職員が実親に打診しての結果である。こんな…

鉾田児童相談所がお詫び

新聞報道によると、茨城県鉾田児童相談所が「虐待被害の女児の情報、児相が実母に漏らす 命脅かすミスと謝罪」とある。 虐待を逃れて里親宅で暮らす女児とその妹の住所を誤って実母に漏らしてしまったと発表。里親は住所が入った書類などを交付しないよう求…