特別養子縁組 最近状況

令和2年度の特別養子縁組の人数は693件。前年は711件だったので、伸び悩んでいる。2017年度の「新しい社会養育ビジョン」では概ね5年以内に現状の500件から1000件にしようと打ち出したが。

ここにきて、特別養子縁組に関する考え方が大きく変わった、と言えないだろうか。

子どもの権利条約への理解が進んできて、社会的養護としての特別養子縁組、という考え方が受け入れられるようになってきた。にもかかわらず支援も乏しいし、社会的養護としての特別養子縁組といった考え方もない。養親を増やすための広報活動も十分ではない。養親のための制度のイメージがなかなか抜けない。戸籍にも養子であることが分かりにくいように表記される。時代によってはそれも必要なことだったろうが、出自が問われるような時代になってくると、そうした配慮は子どものためにならなくなってくる。

児童福祉法の大きな改革を進めた平成27年の「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」で、子どものパーマネンシーについて話題になった時、施設代表の委員が施設にもパーマネンシーはある、と発言した。普通には腹を立てない私も呆れて、それはパーマネンシーとは言わないのだ、云々反論し始めて、座長が止めてくれた。そう、こんな議論は時間がもったいないと気が付いたものだ。

最近も書いたが、厚生労働省特別養子縁組については大きくあっせん機関に委託をしてしまったようだ。あっせん機関には助成金を出しているが、養親はあっせんに対して実費を払うことになっている。養親が養育とともにそれにかかる経費の負担も当たり前と考えているのだろう。

アメリカなどでは、養子縁組にも里親の措置費と同額程度の費用が出ているという。パーマネンシーの実現については、そうした支援があって実現が可能なのだと思う。養親にだけ依存して、目標を立てあっせんが進まないというのはおかしくないか。

あっせん機関は乳児のあっせんに特化している。施設にも、里親のもとにも特別養子の必要な子どもたちが暮らしている。15歳まで特別養子縁組が可能となったが、そうした子どものあっせんは行われていないと言える。

施設や里親のもとにいる子どもたちで、実親がいないような場合には特別養子縁組を用意すべきだ。そして、養親に預けっぱなしにしないで、支援の体制をしっかり作って。

言わずもがなのことだが、書いておきたい。養子縁組家庭には障がいをもった子どもを養育している家庭もある。一人だけではなく数人の子どもを受け入れている場合もある。外国籍の子どもで養子縁組をすることによって日本国籍を取得させた例もある。