里親支援ブログ 木ノ内博道

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子ども基本法の提言

昨年から「子ども基本法」を作るよう政府に提言しようと研究会が立ち上がった。今年の3月で取りまとめる予定だったか、コロナの影響で研究会の開催も発表も大幅に遅れた。

国連の子どもの権利委員会から何度も勧告を受けているもっとも問題のところは、横断的な子どもに関する法律を作りなさい、ということだった。

しかし、国は、子ども基本法を作ることにずっと無関心でいる。子どもの福祉は厚生労働省、教育は文部科学省など、子どもの権利条約は批准しているものの、国内の取り組みが見えにくい。法律によっては批准している「子どもの権利条約」をベースにしていないものもある。さらに法律間で矛盾しているものもある。

提言の内容は下記のURLで。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000136.000025872.html

 

 

新聞をゆっくり読みながら里親を思う

のんびりと起きだして、今日の朝日新聞をゆっくりと読む。歌壇という欄がある。目についたのは「憶良おらば何と詠みけん宝なる子ら虐待に死にゆく今を」。以前、里親を対象に川柳を公募する企画があった。私は賛成できなかった。子育てを揶揄するような作品をみたくなかったからだ。しかし、こういう歌ならいい。「もりかけも桜も説明しないまま辞めていくのね病気とはいえ」「また今日もソーシャルディスタンスと言うの? 感染防止距離と言わずに」「虫の来ないLEDの明かりとは光であって灯りではなし」。歌は社会時評として素晴らしいと思った。こんなのもある。「『封じ手』を立会人に手渡して深く礼する所作の美し」棋士の礼節を称える歌である。

「日曜に想う」の欄には抗議のマスクの記事があった。こちらは藤井棋士ではなく大阪なおみのテニス全米オープンでの7枚の黒いマスク。その行為から「日曜に想う」の記者は、川崎さんの詩を思いだす。

 「二人死亡」と言うな

 太郎と花子が死んだ と言え

かけがえのない「存在」を数字のなかに置き去りにするな、という詩句である。そこから記者は、「あなたの身に起こっていないからといって、それが起きていないということにはなりません」というツイッターの言葉を紹介する。他者の苦難への無知や無関心を指摘する。

記者はスーザン・ソンタグの「他者の苦痛へのまなざし」からの一文も紹介する。「彼らの苦しみが存在するその同じ地図の上にわれわれの特権が存在し、或る人々の富が他の人々の貧困を意味しているように、われわれの特権が彼らの苦しみに関連しているのかも知れない」。ソンタグは、同情は無責任だという。

文章の最後に、大阪なおみさんの勇気ある行動にフランスの反戦哲学者、アランの言葉を紹介している。「君が他人の始めるのを待つ限り、誰も始めはしないだろう」。

さて、これらの一文が里親ということに大きく反響してくることになる。命を落としかねない逆境で暮らしている子どもに、私たちはどうすべきか、なにをすべきか。日頃、里親の労働者性について言及したりしてきた。しかし、理屈ではなくて、「胸の小槌に従」うことではないか。思えば井上光晴の詩集に『胸の小槌に従え』がある。内容は忘れてしまったが、いいタイトルだと思う。

新聞の隅に、こうした思いを逆なでするような記事もあった。杉田衆院議員が女性への性犯罪に絡んで「女性はいくらでもウソをつける」と発言した、という記事。

『ナゲキバト』を読む

ブックオフの200円均一の棚が好きだ。価値のない、読んで思わず破いてしまいたくなる本。そういう本の間に、光り輝く本がある。素晴らしい本だから多くの人が買いそして売って、この棚に集まる、というわけだ。

昨日買った『ナゲキバト』(ラリー・バークダル著、あすなら書房)もいい本だった。新刊でないから、すでに読んだ人も多いと思うが、子どもに読んであげる、ないし勧めるのにはいい本だ。

9歳のときに両親を交通事故で亡くした少年は祖父に引き取られて、祖父から生きていくことを学ぶ。その祖父の温かい励ましのこめられた教え。

小説だから、その内容を書くことは差し控えよう。ただ、里親家庭など、子どもと大人の出会いは、このようであってほしいと思わずにはいられない。

薄い本ながら、読んで感謝する、いい出会いの本だった。

当事者学

当事者が大事にされていない分野は人権侵害のおそれがある。そんなことを考えたのは昨日の朝日新聞夕刊だ。「現場へ!」が連載されているのだが見出しに「人はみな自らの人生を実験」とある。まあ実験としては平等、ということだろう。

目が見えず耳の聞こえない研究者にインタビューしている。テーマは能力主義的な発想を批判する研究。「能力の差を存在の価値に連動させてしまう、人間の存在の内面にくみこむ差別的なもの、価値の序列的体系。それを障害を通して考察し、批判的に研究していきたい」と。

そして「人はみな、一生かけた『人生実験』をしているようなもの」という。当事者学とは、目線の問題ともいえよう。「気の毒だから配慮する」ではない。だれもが平等に実験の場にいる、そういう認識が必要だ。

里親家庭にいる子どもたちについても言えることだ。

乳児の口に血、やはり代理ミュンヒハウゼン症候群だった

9月9日のこのブログで、乳児に血液を飲ませて嘔吐させた事件は代理ミュンヒハウゼン症候群ではないかと書いたが、やはりそうだったようだ。養育に関わる倒錯した精神疾患、里親にも無関係とは言えない。相談を受けていて、里親の熱心な養育の背景にこの病理が感じられたことは少なくない。事件に発展しない軽微なものなら、どうやってチェックをしたらいいのだろうか。

週刊朝日の記事によるとーー。

●事件概要

子どもを病気にして献身的に看病し、周囲の注目を集めようとする――。「代理ミュンヒハウゼン症候群」という精神疾患が疑われる児童虐待の事件が発生した。小児科医によると、この症候群は、潜在的な広がりがあるという。
入院している生後2カ月の長男に、他人の血液を口に含ませて嘔吐(おうと)させたとして、9月7日に母親(23)が傷害の疑いで大阪府警に逮捕された。
逮捕容疑は今年2月と3月の2回だが、長男は1月に発熱で入院して以来、20回以上嘔吐しており、そのたびに母親が看護師に伝えていた。母親がいる時に限って嘔吐するので、虐待が疑われたのだ。母親は容疑を否認しているが、「代理ミュンヒハウゼン症候群」が疑われている。
●「代理ミュンヒハウゼン症候群」とは、どういったものなのか。
1951年、イギリスの医師により発表された「ミュンヒハウゼン症候群」は、他人の愛情や関心を得て周囲を操りたいがために、病気のふりや自傷を繰り返す症状をいう。病名の由来は、ドイツの詩人ビュルガーによる『ほら吹き男爵の冒険』に登場する主人公で、18世紀に実存したミュンヒハウゼン男爵から名づけられた。
「代理」とつく「代理ミュンヒハウゼン症候群」は、自分ではなく代理として子どもや近親者を病気に仕立てる。日本小児科学会の報告によると、<子どもに病気を作り、かいがいしく面倒をみることにより自らの心の安定をはかる、子どもの虐待における特殊型>とされる。加害者は熱心なふりをした母親に多く、医師をもだまして不必要な治療が行われ、子どもの健康を脅かす恐れすらある。
『子どもの脳を傷つける親たち』などの著者、福井大学子どものこころの発達研究センターの友田明美教授(小児神経科医)は、かつてこの症例に遭遇したことがあった。
「4歳の女児を連れて受診に来たある母親が、『娘が夜中に頭痛で泣き叫ぶ』と訴えてきたことがありました。血液検査や脳の画像検査などしたところ、異常は見つかりませんでした。母親は、痛み止めを要求してきたので、子どもに使用できる鎮静剤を処方しました。ところが、それでも効果がないと母親は訴えてきました。私は主治医として親身になっていくにつれ、薬の量を増やしたのですが、次第に疑いを抱くようになりました。最終的に児童相談所が介入し、女児は施設に引き取られました。母親から離れたその日の夜から女児はすやすやと眠って、母親の虚言だったと発覚したのです」
父親は仕事ばかりで、ほとんど家庭を顧みなかったという背景もあった。献身的な母親をしている姿を見てもらうために、うそをついて関心を引きたかったのだろう、という。

心の病によって母親が子どもを病気に仕立てる不幸な事例を防ぐには、どうしたらいいのだろうか。

『赤ちゃんが大人になる道筋と育て直し―三つ子の魂、乳幼児体験の大切さ―』の著者で臨床心理士の角田春高さんは、こうした母親の内面を探り、理解することの重要性を語る。
「母親は、孤独感と孤立感にさいなまれているがゆえに、子どもを陰で痛めつけてその子どもを世話する良き母親として関心を寄せてもらい、同情を集めているのだと思います。私が相談を受ける時には、母親が頼りにしている人を核に据えて、その人が母親の内面に耳を傾け、理解してあげるように努めてもらいます。自分は一人ではない、真剣に考えてくれる人が身近にいるのだと安心できる経験が必要です」
2010年には、入院していた幼い3人の娘の点滴に水などを混入して、1人を死亡、2人を重症にさせたとして「代理ミュンヒハウゼン症候群」と診断された母親が傷害致死の罪に問われ、懲役10年が言い渡される事件があった。
保護者による子どもの虐待で「代理ミュンヒハウゼン症候群」が疑われる事例があるときは、最悪の事態を招く前に専門家の診断を受けて、精神的なケアが求められる。

千葉県知事をめぐる動き

千葉県のことで恐縮だが、来年4月で任期が終了する千葉県知事をめぐってさまざまな動きがある。まず現・森田知事が次の選挙にも出るのかどうか、いまのところ明らかにしていない。しかし現知事では難しいとする自民党県連は、スポーツ庁長官の任期を終えるソウル五輪競泳金メダリストの鈴木大地氏を擁立する方向だという。もう一つの動きは、千葉市熊谷俊人市長が出馬する意向を固めたという動き。

熊谷俊人さんについては、官民協議会で面識がある。「子どもの家庭養育推進官民協議会」発足のとき三重県知事の鈴木氏が会長となり、私が民間を代表して副会長になった。その後、アドバイザーとして関わっているが、熊谷さんには発足の時から里親制度に深い関心をもっていただき、千葉市内で里親に関する取り組みをしてくれている。

彼が出馬するならぜひ応援しようと思う。昨年、里親に関する要望を県にもっていったときに「要望書は担当部署に、知事が会うのはやぶさかではない」、という対応だった。手順から言えば、知事が受け取って担当部署に回す、という方法ではないだろうか。

県から業務受託する際、暴力団や特定の宗教とともに特定の政党に対しても関りを禁じられているように記憶しているが、里親制度に積極的な人を応援するのに問題はないだろうと思う。