2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

読者の声

里親保障8で、里親の養育の大変さを書いたところ共感のメールをいただきました。だいたい下記のような内容。 「委託を受けてから、さまざまな困難がありました。私も夫もバテて、もう限界と思う時もありましたが、そうなると委託されてきた子どもはどうなる…

里親保障8

里親は十分な支援を受けて、充実した養育をしているのだろうか。「里親家庭の全国実態調査」(平成27年度調査・全国里親会)によると、最初に子どもを受託した際、養育者にどのような心身上の変化があったのか複数回答で聞いている。「心身上の問題があった…

不登校生徒の評価

里親家庭には不登校になる子どもが多い。生活状況が安定していなかったのだからそれもやむを得ないことだろう。里親家庭では1割の子どもが不登校か不登校になったことがあるとの調査結果がある。 不登校だと、評価のつけようもない。オール1になってしまっ…

里親ドゥーラなんてないかな?

「産後ドゥーラ」という言葉をはじめて聞いた。出産前後の母親をサポートをしてくれる専門家のこと。助産師、ベビーシッターとしての役割、さらに家事までお世話してくれるという。乳児を委託される里親にも、こういう人がいてくれたらどんなにか心強いこと…

「最低基準ノート」なんてどうでしょう

「里親が行う養育に関する最低基準」、読んだことがないか記憶の外にあるのではないか。しっかり解説をして、「子どもの権利ノート」のように分かりやすい小冊子にしてはどうだろうか。 条文でいうよりももっと分かりやすく。たとえば子と親の秘密を守るよう…

里親保障7

里親とは何か。正面から問われると実はよく分からない。たぶんボランティアなのだろう。これまで見てきたように、里親手当てとはいうものの労働の対価ではなく必要経費として支払われる。そして、余るようなら税務署に申告するように。税務署から何か言われ…

里親保障6 最低基準

先日、里親の学校で最低基準をみんなで読んだ。里親として最低基準ぐらいは読んでおこうね、という気持ちだったが、あれ、これまで認識していたことと違うぞ、みたいなことがあった。 まず最低基準というのだから、最低のところが書いてあって、養育の質を高…

里親保障6

里親とは何か、最も基本的なことからいろいろと制度などについて考える。今回は「里親委託ガイドライン」「養育指針」から考えてみる。 「里親委託ガイドライン」、「里親の養育指針」をひっくり返してみている。作った時には「里親は家庭というもっとも私的…

里親保障5 里親手当の蛇足

里親保障5で、里親手当の性格について書いた。里親は私人。法人とは違うので、雑に、このくらい出しておいたらいいだろう、みたいな考え方が里親手当にはあるように感じられる。 その結果、研修は義務だと言っても、交通費も出ない。里親手当のうちだ、とい…

里親保障5

里親とはなにか。正面から答えてくれるものがないので、里親手当ての性質からみてみる。手当てと言えば多くの場合労働の対価だが、里親手当ては労働の対価ではない。行政もずいぶん悩んだ結果だと思うが、先に述べた憲法第89条もあるし、里親の活動に労働者…

里親保障4

http://fosterfamily.web.fc2.com/monthly/amano_file.htmlは、千葉県里親家庭支援センターのホームページにアップしている天農氏の論文だが、かいつまんでいうとこういうことだ。昭和22年に制定された日本国憲法第89条では民間への公的補助は全面禁止だった…

里親保障3

里親とは何か。分かりやすい事例として、受託している子どもに事故が起きた場合の責任について施設と里親について比較してみよう。児童養護施設の事故としては暁学園の事故が最高裁判例としてある。4人の子どもから暴行を受けて脳障害になった少年に対して誰…

思いやりより人権を

今日の朝日の夕刊、障害者の発言。そうなんだよね、同情したりするよりも主権者であることを認めることの方が大事。 子どももそうだね。守ってもらうことも大事だが、権利の主体者であることを知ること。いろいろなことが子どもの声を聞かずに決められていく…

里親保障2

なにげなく友人の言った里親に関する物言いが気になっている。 里親の身分といったら大げさだが、役割に対する保障というのはあるのだろうか。こんなことを書き出すと里親になる人はいなくなるのかとも思うが、やはり大事なことだ。 もちろん子どもが大事だ…

遺伝子スイッチ

世の中すごい。里親家庭の困難さも増すのではないか。というのも、遺伝子にはオン・オフのスイッチがいくつもあって、その切り替えで体質や能力、病気、極端にいえば運命さえ左右される、という。豊作でモノをいっぱい食べた次の世代はそんなに食べなくても…

里親と絆

子どもとの絆が確認できた時に、里親は、里親冥利に尽きる、といえるだろう。京都の、ダウン症の子どもを養育している里母が、2人で川原で遊んでいて、「もう帰るよ」といって土手の方まで帰りかけた時に、遊んでいた子どもが一生懸命おいかけてきた。初めて…

里親保障について

すぐ出かけるので、はしょった書き方をする。 どんなテーマで勉強会をやるか友人と話していて、里親による養育中の事故、里親保険などを知っておきたいと意見が出た。そうだ、施設の、たとえば暁学園の事故の対応と里親家庭における養育中の事故では行政の考…

当事者の声

改正児童福祉法の1条に「子どもの権利条約」がうたわれ、2条には子どもの意見表明がうたわれている。十分子どもの声に耳を傾けてこなかった日本の社会的養護の世界では、どうやったらそうした仕組みが作れるのか、議論が始まったばかりだ。意見表明だけを言…

里親会ってなんだろう、どうなるんだろう

これから書くのは、もちろん私見であり現在の里親会の活動に水を差すものではないが、もっと虚心坦懐に議論していってもいいテーマではあるだろう。里親会の発展の道筋をたどると、まず昭和30年前後、里親の増加とともに始まる。その始まり方は里親が結成し…

企業も社会の一員

里親を増やすことに企業も本腰を入れてほしいと思う。 雑誌『Forbes Japan』によると、米国で、女性に働きやすい会社としてエスティローダー社が1位に輝いたという。養育中の女性に対して子育てと仕事の両立しやすい環境を整えたことによる。しかし、それだ…

里親を制度上の呼称に限ってはどうだろうか

「一日里親」が男の子に性的暴行をしたと報じられた。里親が増えなければ、と思っている時に水を差された格好だが、報道によると児童養護施設職員がこの制度を悪用したのだという。児童福祉法で定められた里親制度以外にあいまいな里親名称が多く存在する。…

里親の、別れの悲しみ

ゆく川の流れは絶えずしてしかも元の水にあらず。無常観。昔の人は別れの技術もしっかり持っていたんだろうな。そんなことを思ったのは、一時保護を受けた里親が、一時保護終了後も別れを悲しんで「もう二度と一時保護を受け入れたくない」と話していたこと…

『柿の種』から

『柿の種』』(寺田寅彦・岩波文庫)に、こんな一文がある。そのまま転載する。 子猫が勢いに乗じて高い樹のそらに上ったが、おりることができなくなって困っている。親猫が樹の根元にすわってこずえを見上げては鳴いている。人がそばへ行くと、親猫は人の顔…

最近の子ども関連の新語

趣味であらゆるジャンルの新語を集めているが、うまく活かせない。昔は新語をネタにけっこう原稿の依頼もあったんだけど。そんなわけで、子ども関連の新語の押し売り。皆さんどれだけ知っているでしょうか。 「胎児虐待」乳児や幼児の虐待だけでなく胎児につ…

奨学金の申請を

▶高校3年生を養育中の里親にぜひご案内ください◀国の大学等奨学金事業が大幅に拡大します。令和2年4月からの実施に向けた高校等での予約採用がすでに始まっています。新制度は高校を窓口に行われるもので、社会的養護関係への告知が十分なされているとは限り…