里親保障5 里親手当の蛇足

里親保障5で、里親手当の性格について書いた。里親は私人。法人とは違うので、雑に、このくらい出しておいたらいいだろう、みたいな考え方が里親手当にはあるように感じられる。

その結果、研修は義務だと言っても、交通費も出ない。里親手当のうちだ、というのが行政の考え方だろう。県内とはいえ、結構遠いし拘束の時間も長い。まだ手当が出る場合はいいが、未委託の段階には自前である。好きでやる、ボランティアなんだろう、の意識が行政にあるのではないか。

それから、委託される子どもの健康についても近年は通院や病気療養のケースが多い。養育里親のもとにそうした子どもが来た場合、たとえば年長児童だがおむつを必要とする場合がある。児相からは通常養育費で対応してください、と言われる。通院に関しては同行者の交通費も出るようになったが、年間8000円では、たとえば透析の子どもを預かった場合など、慢性の病気で通院するときにはそれでは足りない。

一時保護委託に里親を活用することが増えたが、通学も通園もしないので24時間みることになる。持病をもった子どももいる。緊急で預かるが長くなるケースがほとんどだ。

さらに、子どもを預かったことによって体調をくずす里親も少なくない。そして通院するケースもある。

実費対応が必要だろうと思う。もう、そういう時代だ。社会的養護の軸足を里親にしていく、そのためにリクルートに予算がついたりしている。だけど現場の困り感に耳を貸さないでは、里親になっても続かないのではないだろうか。

もう一つ、里親手当が出ているのだから、里親会の会費ももっと高くてもいいのではないか、という意見がある。ここにも、法人と私人の違いが影響していると思う。法人なら会費などは出しやすい。しかし、いったん自分の財布に入ってしまえば、そのお金の支出にはシビアにならざるを得ない。生活とはそういうものだ。

私人と法人、実は意外に大きな違いを里親は感じていて、法人や公務員には理解しにくいところがある。子どもの声に耳を傾ける時代が来ている。同様に、里親の意見も大事にしていく必要があるだろう。