里親は十分な支援を受けて、充実した養育をしているのだろうか。「里親家庭の全国実態調査」(平成27年度調査・全国里親会)によると、最初に子どもを受託した際、養育者にどのような心身上の変化があったのか複数回答で聞いている。
「心身上の問題があった」は里父で20.1%、里母で32.1%。
その内訳は、「体調不良」が最も多く46.0%。次いで「睡眠障害」(28.2%)、「不安症状」(25.4%)、「うつ症状」(14.5%)と続く。示した選択肢に含まない「その他」も35.6%と高い。
心身上の問題があった人のうち、服薬したが31.6%、通院したが37.5%となっている。
こうしたときに誰が支えになってくれたのだろうか。「同居家族」(54.3%)、「同居外家族・親族」(33.4%)と親族の支えが大事そうだ。次いで「児童相談所職員」(45.4%)、「里親仲間」(43.4%)と続く。
里親になるための研修代や交通費も出ず、研修段階では子どもが委託されるかどうかもわからず、6割以上が未委託里親。そして、子どもが来てみると上記のような大変さ。
好きでやっているんだから問題ないだろう、というには課題が多すぎないだろうか。里親とは何か、とみていくとき、身分的な保証のないまま担いきれない大きな責任を負っていく。
これまでも言ってきたように、大事なのは子どもで子どもに間違いがあってはいけない。しかし子どもを養育する里親にもまともな養育環境が保障されるべきだろう。
養育の心労について紹介したが、育て上げて措置解除になってからも里親家庭から自立できない「子ども」も多い。残念ながらそうした調査はないが。