『Q&A里親養育を知るための基礎知識』Q-01「社会的養護とはどういうことですか?」

『Q&A里親養育を知るための基礎知識』の第1問は「社会的養護はどういうことですか?」というもの。柏女霊峰さんが答えている。

家庭環境を奪われた子どもに養育環境を整備したその体系を社会的養護と呼んでいる、と。社会的養護には施設養護と家庭養護があるとして、施設養護には乳児院児童養護施設、情緒障がい児短期治療施設、小規模グループケア、地域小規模児童養護施設があり、家庭養護には里親制度(養育里親・専門里親・親族里親・養子縁組を希望する者)、小規模住居型児童養護事業、養子縁組・特別養子縁組制度があるとしている。

ここ数年、社会的「養育」という言葉も耳にする。平成28年度の児童福祉法改正で、要保護児童だけを対象にするのでなく、母子家庭など単身家庭なども含めた要保護児童以外の子どもについても対象にしていこうとしている。子どもの福祉全体を視野に入れた、社会的養護を超えた仕組みをイメージしようとして社会的養育という言い方が出てきた。たとえば、国の社会保障審議会にあった社会的養護専門委員会も現在は社会的養育専門委員会となっている。

里親の役割も、従来の要保護児童だけでなくショートスティ里親といって、市町村に住む子どもたちも、養育者が入院するなどした場合に預かる仕組みも国の事業として始まった。

厚生労働省は、里親による養育について「家庭養護」としているが、たとえば昭和23年に厚生省が出した通達は「里親等家庭養育の運営に関する厚生事務次官通告」であるし、平成14年に出された最低基準は「里親が行う養育に関する最低基準」であり、養育の方がなじみやすい。研究者の間でも、養護という言葉は施設での養育から始まったものである、としている。