『Q&A里親養育を知るための基礎知識』のQ‐02は「社会的養護の最近の動向について教えてください」

 『Q&A里親養育を知るための基礎知識』の第2問は「社会的養護の最近の動向について教えてください」というもの。庄司順一さんが回答している。庄司さんは青山学院大学教授で自らも里親をやっていた。この本を出してしばらくして亡くなった。

当然のことだが、この本が出版されるまでの社会的養護の動きについて書いている。平成14年の里親制度の改正。戦後初めての大きな改革であった。専門里親や親族里親が制度化され、養育里親という言葉が使われることになった。厚生労働省から「里親の認定等に関する省令」「里親が行う養育に関する最低基準」だされた、とある。それまでは、里親は児童福祉法にカッコ書きされているに過ぎなかった、とある。個人的なことだが、この第1回専門里親研修に私も参加して専門里親になった。

また、平成19年に社会的養護専門委員会ができたとある。厚生労働省の管轄で社会保障審議会子ども部会社会的養護専門委員会ができた。それまで里親はこうした会議に出ることはなかったが、私が初めて里親としてこの委員会の委員になった。

1回目の専門委員会では、社会的養護は危機的な状況にあり、養育ニーズの予測の必要性、家庭的養護の重視、社会的養護の自治体間格差、養護の取り組みにおける施設間格差、里親型グループホームの検討、などが議論された、とある。

昭和62年の「里親等家庭養育の運営について」(厚生事務次官通知)で、里親は愛着関係の形成など健全育成を図るものであること、また「里親の認定等に関する省令」「里親が行う養育に関する最低基準について」(平成14年・児童家庭局長通知)で、児童の発達においては、乳幼児期の愛着関係の形成が極めて重要であること、が書かれているとしている。

考えてみれば、この本が出て、平成20年の児童福祉法改正後は、施設や里親の養育割合を15年後どうしていくか、目標に定める「社会的養護の課題と将来像」が、また「里親養育指針」などが次々と出ていくことになる。平成20年代初頭はこれらの作成に私も関わった。そして平成27年9月に「子ども家庭福祉に関する専門委員会」が発足し、平成28年児童福祉法改正にとつながっていく。つながっていくと書いたが、平成28年児童福祉法改正は従来の流れとは全く異なるもので、私もその委員だったが、その詳細はまた別に書く。

平成20年の改正で、養育里親と養子縁組里親が別になり、ファミリーホームが制度化され、里親制度は充実していくことになる。もちろん、まだ道半ばであるが。