新しい里親類型

大谷さんと言えば大リーグの話題ばかりだが、大谷美紀子さん。国連子どもの権利委員会の委員長に就任した。任期は2年。もちろん日本人としては初めてのこと。

児童福祉法に子どもの権利が入ったことなど、日本の子どもの権利に関する取り組みがやっと始まって、そうした日本の動きも評価されてのことだろう。

児童福祉法の改正、その後の社会的養育のビジョンなどで、里親の類型が話題になったが、その後の動きがない。

ひとつは、里親という名称を変えようと言うこと。そして、それぞれ専門の里親を作っていこうというもの。

平成14年に親族里親、専門里親ができて、平成21年度に養育里親と養子縁組里親に里親が分かれた。里親の種類としては今のところこれだけ。

児童福祉法の改正時点で議論されたこととしては、赤ちゃん里親がある。赤ちゃん養育の知識をもっている人になってもらおうというものである。

ここで以前にも書いたが、東日本大震災の時に、私は近隣里親を提案した。災害時に、近くに住む人が知り合いの子どもの里親になろうというもの。親族里親とは異なる。

震災前に映画「少年と自転車」を観たことが影響していたと思う。施設に住む少年がお父さんに会いに行く。その道筋であるおばさんと知り合いになる。美容室で働く女性である。少年が「僕の里親になってよ」と語りかける。日本人だったら「あれっ」と思うに違いない。

しかし、当事者が大人を指名して里親になってもらう方法がある。究極の子どもの権利だと思う。通常の里親は、不特定の子どもを想定して里親になる。その結果、「砂糖屋に行くの?」みたいな反応を子どもからもらうことになる。知らない人、というのはそれだけで大きなストレスになる。里親の方だってそうだろう。

子どもの方から知り合いに里親になってもらう、そういう里親は子どもにとって理想の、子どもの権利上の里親と言っていいと思う。

里親をやっていると、知り合ったばかりの子どもから「僕の里親になってくれない」という言葉を聞いた人は多いに違いない。この人に里親になってもらえるならありがたい、というわけだ。

意外に感じるかも知れないが、欧米ではそういう類型の里親がある。子どもが里親を指名する。それも里親になっていない人にお願いをする。