親族里親

『里親だより』に原稿を書くのでデータを見ていたら、登録里親のうち親族里親はわずか5%で、思わず目を疑った。

親族里親ができた平成14年当時、子どもがすでに愛着をもつ祖父母や叔父叔母、きょうだいが養育することはよいことだとされ、親族里親が増えていった。ピーク時には全体の1割を超えていたはず。
2011年の東日本大震災の時には、孤児をだれがみるかで親族里親が注目を集めた。国会では親族里親への里親手当をめぐって熱い議論もなされた。それが、親族里親が災害時のものと印象付けられたきらいがあるが。
虐待を受けた子どもたちを親族に養育してもらうのはリスクが高いとの意見もあるが、海外では虐待を受けた子どもたちでも、親族里親がみることが多いようだ。その代わり、しっかりとソーシャルワーカーがチェックしているらしい。
施設養護から家庭養育に流れを変えていく動きのなかで、養育里親にだけ関心が向けられているが、ぜひ親族里親にも関心を向けてほしいもの。
そこを担うのは措置権をもつ児童相談所の職員で、ぜひ子どもの養育に最もよい環境はどこか、考えていただきたいもの。初期に親族里親が多かった新潟県では、保護児童がでた場合は、養育にふさわしい親族がいるかを第一に検討した、と職員はインタビューに答えていた。
もう一つ、親族里親の増えない理由に、民法で親族には扶養が義務付けられている、という問題がある。義務付けられているのだから里親にならなくても養育するのが当然だ、との言い分。このような議論をぜひクリアにしてほしいもの。