里親保障7

里親とは何か。正面から問われると実はよく分からない。たぶんボランティアなのだろう。これまで見てきたように、里親手当てとはいうものの労働の対価ではなく必要経費として支払われる。そして、余るようなら税務署に申告するように。税務署から何か言われたときには説明できるように資料を整備するように、と。なんか、割り切れない部分だけ押し付けられていないだろうか。
さまざまな書類で、里親の活動を業務とは位置づけていない。たまたま漏れているのは最低基準の第11条に「里親は、正当な理由なく、その業務上知り得た委託児童又はその家族の秘密を漏らしてはならない」とある。都合のいい時だけ里親の担っているものが業務と言われるが、多くのところで「業務」という言葉は周到に避けられている。
子どもの命を預かっていて、これまでみたように傷害を負わせたり命を失わせる結果になった時には1億円もの賠償を問われたりする。仕事なら保障される仕組みがあり、子どもの施設についていえば準公務員的にみなされる。ところが里親のようなボランティアは自己責任とされる。言うまでもないが誰も子どもに障害を負わせたいなんて思ってはいない。しかし事故がないわけではないのが日常の生活だ。
このあと里親保険についても触れていきたいが、これまで、施設(法人)か私人かを見てきた。そこで思うのは、里親を法人にすることはできないのだろうか、ということ。たとえば里親会を法人化してそこに雇用するとか。もちろん労働基準法上の問題がないわけではないが。
問題は、こんなに大事なことを誰も問題にしないことだ。それをいいことに、巧妙にはぐらかされてきたといえないだろうか。
里親になりたい人に水を差したり、里親推進に妨害をしたいわけではない。里親も、そこで暮らす子どもにも喜ばれる制度になってほしいだけだ。