里親保障6

里親とは何か、最も基本的なことからいろいろと制度などについて考える。今回は「里親委託ガイドライン」「養育指針」から考えてみる。

「里親委託ガイドライン」、「里親の養育指針」をひっくり返してみている。作った時には「里親は家庭というもっとも私的な場所で公的な子どもを養育する」との一文があったはずだが、いつの間にかこの一文が見当たらない。文章がこの通りかどうかはあいまいだが、私も作る側にいたのでよく覚えている。
里親はどういう存在なのかと考える時、「最も私的な場所である家庭で公的な子どもの養育を行う」という説明は分かりやすい。しかし、その後、この一文が外されたとすると、なにか好ましくない内容であったということだろうか。
里親の最低条件には、委託された子どもについては実子やその他の子どもと差別しないようにとの一文がある。もしも里親が公的な役割を担っていて、公的な子どもを養育するとしたら、差別するどころか、実子よりも上位な存在として養育しなければならないだろう。転んでひざを擦りむいたとしても、実子なら痛かったね、で済むが、公的な子どもが転んでひざを擦りむいたら、一応児相に連絡を入れておくべきだろう。実子と同様に扱ってはいけない。
なくなったこの一文は、里親の役割がよく説明されている。しかし、公的な業務をボランティアが担っているというのはどこかふさわしくないにおいがする。
里親とは何者で、行政はどう考えたがっているのか。法人であれば非常に管理しやすいが、一私人でしかもボランティアな関りだとしたら名目が立たない。本来なら、施設のように事務費がついて、管理業務代を支払うこともできるだろうが、一私人では難しい。
以前に、児童養護施設乳児院、里親が別々の団体を作っているのはおかしい、社会的養護の団体として1つにした方がいいのではないか、と思ったことがある。さまざまな業界団体を作るのは、昔であれば天下り先の確保、そうしたことができなくなった今でも、個別に分断したほうが管理しやすい。しかし、今日的に考えるならば、社会的養護に一業界団体が望ましいのではないかと考えたのである。
だが事業体の集まりと私人としての里親が一つの団体になることは難しい。この辺の問題を解決するには、フォスタリング機関の創設はなかなかうまいやり方だといえよう。