里親の、別れの悲しみ

ゆく川の流れは絶えずしてしかも元の水にあらず。無常観。昔の人は別れの技術もしっかり持っていたんだろうな。そんなことを思ったのは、一時保護を受けた里親が、一時保護終了後も別れを悲しんで「もう二度と一時保護を受け入れたくない」と話していたこと。それも一人の里親でなく複数の里親から聞いた。

一時保護でなくても、親元に帰る子どもが大半を占めるから、里親というのは別れに対してもそんなに感情に左右されているのはよくない。とはいえ、では施設職員のように仕事と割り切って養育すればいいのだろうか。絆や愛着が生まれるから、別れが悲しくなるのだろう。いわば、養育に身を入れたからこそ別れが悲しいのだ。

でも、別れを悲しむのはどこか力の入れ具合が違うのではないか、と感じる。別れにフォーカスするのではなく、とてもいい時間を共有できた、とそのことを味わってはどうだろうか。予想もしていなかった豊かな時間をいただいた、と感謝すれば、悲しむよりももっと充実した感情を味わうことができる。