一時保護と里親

戦後まもなく、GHQによる日本の児童相談所に対する査察が行われたが、その際に、一時保護についてはそれに代わる家庭環境を用意するように、との指導があったが、その査察が済むと、日本は児童相談所内に一時保護所を設けることになった。
今回の国連子どもの権利委員会による日本への総括所見でも、日本の一時保護のあり方を変えるようにとの指摘があった。
一時保護については、ウキペディアにこうある。「関係者の意思に反して行う強制的な制度は、通常は裁判所の判断を必要とするが、児童福祉法の一時保護については裁判所の事前事後の許可も不要。このような強力な行政権限は、諸外国の虐待に関する制度としても珍しく、国内にも類似の制度はない。」
一時保護のあり方についてはその強引さから実親からの訴訟などもあるが、最近は子どもからの問題提起も多い。保護のはずが、明らかに保護を逸脱している、として。
昨年、一時保護ガイドラインも取りまとめられた。読んでみたが、それほど画期的なことは書いてなかった。
このところ、虐待に対して、児童相談所と警察、検察による共同面接が急増しているという。児相職員だけでは手に余るのだろう。
さて、一時保護の子どもたちをどうしたらいいのだろうか。あまり大きな声になっていないが、里親を活用すべきだろうと思う。特別養子縁組の制度が整備されて、長期的な養育を縁組が担うことになれば、措置委託以外に一時保護についてもを里親がやればいいと思っている。
現在でも一部、一時保護委託に里親を活用する動きはあるが、制度がしっかりしていないので、トラブルも多い。
まず、一時保護するかどうかは司法が関与すべきだろう。そうした納得の上で、保護したら健康面などをチェックする。そして里親家庭に委託する。難しいだろうが期間も定める。通園・通学も可能とする。
海外の事例を見ていても、一時保護に当たってまず里親を検討する仕組みになっているところが多い。日本は、このところ措置児童の家庭養育を重点的に取り組んできたが、これからは一時保護のあり方が課題になっていくだろう。その場合、やはり家庭を重点的に考えるべきだ。