ジャスピカンで発表

日本虐待防止学会(ジャスピカン)が開催されている。今日、そのなかの日本財団スポンサードセッションで話をした。全体としてのテーマは「子ども基本法の制定を目指して」。私は「国連子どもの権利委員会からの勧告と社会的養護下の子どもの権利」について。

ざっくり内容を書いておくと、長年里親をやってきて、子どもの権利条約第20条(代替養育は家庭が原則)があるのに、どうしてそうならないのか、というのが取り組みの発端。

これまでの第20条への国の報告は、非常に甘いし関係者の関心も薄い。

次の政府の国連子どもの権利委員会への報告をしっかり見て、カウンタ―レポートに反映させたい、と思った。

日本の政府報告・第4回第5回報告(2017年6月30日)は、決められた期限から1年以上の遅れ、内容に積極性も感じられない。

私は「子どもの権利条約NGOレポート連絡会議」のカウンタ―レポートで代替養育の部分を担当した。

 子どもの権利委員会から日本への総括所見が採択された(2019年2月1日)。

一般措置の部分で、子どもの権利に関する包括的な法律を採択し、かつ国内法を条約の原則および規定と完全に調和させるための措置をとるよう、強く勧告する。第3回にも同様の勧告を受けているが日本政府は素通り。

代替養育に関する部分では、次の6点の勧告がなされた。

①子どもを家族から分離するべきか否かの決定に関して義務的司法審査を導入し、子どもの分離に関する明確な基準を定め、かつ、親からの子どもの分離が、最後の手段としてのみ、それが子どもの保護のために必要でありかつ子どもの最善の利益に合致する場合に、子どもおよびその親の意見を聴取した後に行なわれることを確保すること。

②明確なスケジュールに沿った「新しい社会的養育ビジョン」の迅速かつ効果的な執行、6歳未満の子どもを手始めとする子どもの速やかな脱施設化およびフォスタリング機関の設置を確保すること。

児童相談所における子どもの一時保護の実務慣行を廃止すること。

代替的養護の現場における子どもの虐待を防止し、これらの虐待について捜査を行ない、かつ虐待を行なった者を訴追すること、里親養育および施設的環境(児童相談所など)への子どもの措置が独立した外部者により定期的に再審査されることを確保すること、ならびに、子どもの不当な取扱いの通報、監視および是正のためのアクセスしやすく安全な回路を用意する等の手段により、これらの環境におけるケアの質を監視すること。

財源を施設から家族的環境(里親家族など)に振り向け直すとともに、すべての里親が包括的な支援、十分な研修および監視を受けることを確保しながら、脱施設化を実行に移す自治体の能力を強化し、かつ同時に家庭を基盤とする養育体制を強化すること。

子どもの措置に関する生物学的親の決定が子どもの最善の利益に反する場合には家庭裁判所に申立てを行なうよう児童相談所に明確な指示を与える目的で、里親委託ガイドラインを改正すること。

 これらについてはカウンターレポートが効いている。子どもの権利委員会はカウンタ―レポート制作者にインタビューしており勧告に盛り込んでいる。

今回の勧告を見て、子どもの権利条約21条、養子縁組に関する部分が弱いと感じた。次回はぜひ特別養子縁組に対してカウンタレポートに書き込んでほしい。