里親手当の性格が育児の労働対価ではなく研修などの研鑽に充てられる雑所得だと前に書いた。そうであるならば、里親として認定された段階から支払ってもいいのではないか。というより、認定直後の方が勉強する必要があると言えるだろう。
里親として認定を受ける人たちは養育を考えてのこと。ところが、登録している里親のうち全国平均で6割以上が未委託。地域によっては8割以上が未委託という自治体もある。
なぜこんなにも未委託里親が多いのか。表向きは、多様な子どもたちに対応してもらうには未委託里親が多い必要がある。1人の子どもに4人くらいの里親が選べるようになっていないといけない、という。
しかし、本音レベルでは、認定の作業と委託する仕組みが別々で、認定されていても児相職員の認識が薄ければ委託にはつながらない。
ある調査によれば、未委託里親の割合は登録里親のうち6割で、その未委託里親のうち児相から委託の話が電話でもあったのは半数。後の半数は登録後なんの話もない、という。
養育するために研修や実習を受けて、1年以上もかけて里親になる。それで有効に活用されていないことが分かれば、里親になりたい人も二の足を踏むのではないか。
一方で、里親を増やすことに行政はお金をかけて、里親が足りないと言っている。
未委託里親にも里親手当を支払うことによってこうしたことが防げるのではないか。全額とは言わない。たとえ1万円でも支払うことによって、認定を受けた里親は勉強しようという気になるだろうし、行政側としては、お金を支払っている里親を活用しないのはもったいない、という気持ちになるだろう。