里親家庭の委託解除について

読売新聞10月29日号に、かなりスペースを割いて「里親家庭の委託解除」について記事があった。

里親家庭に措置された子どもの委託解除、なかには里親登録の抹消まで含む処分についての記事。紹介されている事例では、里子同士で口論になって里父がとめた。その際、子どもに「施設に返す」というようなことを言ったとか。それを児相が問題にして措置解除をして、里親認定も取り消した。ところが後で調べてみると、子どもの言ったことは嘘であったという。しかし児相の判断は覆らなかった。

多くの場合、いったんくだされた判断は覆らない。後で新事実がでてきても覆らない。

こうした強権から、里親は悩み事があっても児相に相談は持ち掛けない。

ここまではその通りだが、後半の記事は、だから里親支援センターが作られつつある、と里親支援の話になっていく。

だが、児相のくだす判断と里親支援センターの話は結びつかないと思う。里親と児相の関係がこじれた場合、支援センターが間に入ることはない。「児相の判断だから」と逃げ腰になって、里親にとってほんとうに必要な場合に力になってはくれない。

里親支援機関も児相の管轄下にあるわけだから、児相と戦うことはできない仕組みになっている。

解決の方法としては、児相が時間を取って問題をきちんととらえること以外にない。そのためには、養育をお願いしている里親を信頼して、話を聞くべきだろう。お願いして、と言ったが、児相が措置権を持っていたとしても、子どもの養育については対等の立場と言っていい。どうしてそういうことになったのか、話を聞かないで判断することはおかしいとさえ思う。私が千葉県里親家庭支援センターをやっていた時にも、こうした問題は起こっていた。里親の養育方法について近所に聞いて処遇の判断をした、と児相職員は言ったという。虐待家庭の調査と同じような扱いなわけだ。

この記事、着眼はいいが、解決方法は示せていない。残念なことだ。