社会的養護という言葉

最近、奥山先生と話している時、社会的養護という言葉は「代替養育」というべきなんだけれどね、と言っていたのが気になっている。

今年は全国里親会創立70年なんだそうだ。それで沿革表を見ていて思い出したことがある。長期にわたって会長を務めた渥美さんに会ったことがある。平成に入ったばかりの頃か。「社会的養護って変な言葉だね。海外ではそういう言葉は使わないがね」と話していた。渥美さんはアメリカにもよく行っていた。

考えてみると施設関係者からこうした言葉が生まれ、行政用語としても取り入れられたのだろう。

いったん使われ始めると行政用語とは簡単に変えられない。奥山さんは「社会的養育」と言い始めたが、社会的養護に変わる言葉にはならずに、社会的養護よりも広い概念として使われている。

養護という言葉には、子どもを守る意味合いが強い。子どもの権利が言われる今日は、子どもの自発性も大事だ。護ることだけを強く打ち出さない方がいい。

渥美さんのモノローグにも、社会的養護の表現に奇異を感じていたことがうかがえる。