養育か養護か

昭和22年に制定された児童福祉法で、里親による養育が公的な養育として認められた。翌年10月、「里親等家庭養育運営に関して」と題した通達が都道府県に発せられた。

昭和25年10月に「家庭養育運営要綱」が通知された。この通知が発せられた10月4日は里親デーとして今日にも残るが、問題にしたいのはこうした通知類が養護ではなく養育と言われていること。

どうやら児童養護施設が要保護児童の受け入れ態勢を整えてから、養護という言い方が一般化したようだ。社会的養護という言葉もあとからできた。養護老人ホーム、などの言葉も使われるようになった。養護の狭義的な意味は、「保護を必要な子どもなどを特別な施設に入れて教育すること」、とある。

近年、施設から里親へという動きがあるが、こうしたなかで社会的養育、あるいは里親家庭での子育てを家庭養育と呼ぶようになってきている。

ここには、新しい児童福祉法が、子どもの権利条約を基本に理念を変えて、子どもを守る(護る)ところから、子どもを権利の行使の主体であるとしたことも関係していよう。さらに、要保護児童だけを対象にするのでなく、リスクの多い家庭を予防的に見ていく里親の存在(ショートスティ里親)を認めていこう、というあたりもあるかも知れない。