池井昌樹さんの詩集「手から、手へ」を図書館から借りてきた。
昨日の朝日新聞、鷲田清一さんの「折々のことば」で紹介されていた文章がよかったからだ。
こんな感じだ。
「やさしい子らよ
おぼえておおき
やさしさは
このちちよりも
このははよりもとおくから
受け継がれてきた
ちまみれなばとんなのだから
てわたすときがくるまでは
けっしててばなしてはならぬ」
養育者、あるいは大人が子どもに向けて伝えておきたいのはこのことだけだろう。
たとえば、昨日もテレビでやっていたが、子どもに街金からお金を借りてこさせ、投資と称して巻き上げる。自殺者まで出ている。そうしたお金が何十億円にも上る。それだけ、若者をだますのは容易なのだろう。子どもが青年期になっても、養育者は気が休まらない。だが、詩集は、やさしさについてだけ書かれている。
最初の一篇も紹介しておこう。
「やさしいちちと
やさしいははとのあいだにうまれた
おまえたちは
やさしい子だから
おまえたちは
不幸な生をあゆむのだろう」
この詩集では、子どもが将来出会う問題の処方も書いている。たまたま父と母が子どもに向けて話しているが、里親でも同じことだ。むしろ里親の願いの方が強いかも知れない。というのは、肯ぜない子どもが多いからともいえる。