親子関係再構築と里親

23日・24日に開催されるFLECフォーラム。第4分科会の「家庭養護と親子関係再構築」が私たちのテーマ。児童虐待防止法児童福祉法で、社会的養護の関係者は再構築に協力することが定められ、里親も例外ではない。

唐突に言われても、という気持ちはしないでもない。児相は親子関係にはさわるな!!という態度が続いてきたわけだから。

そこで、シアトル在住の粟津美穂さん(IFCA代表)に話を聞いた。

「才能のある里親というのは実親を支援し、親子再統合に導かせることのできる里親」だという。それでも一般に里親と実親の溝は深い。里親には実親が危険な存在に感じられて、家族会議などにも参加したがらない。一方実親も、里親が自分のことを蔑んでいるのではないかと不安になっている、とのこと。

子どもの委託段階でも、子どものことをよく知っているのは実親で、この時から里親は実親にアプローチする必要がある。実親も、どんな里親が子どもを見てくれているのか、知る権利もある。いきなり深いコミュニケーションに持ち込むのは難しいので、短い手紙とか電話での会話あたりから。親元に戻った後も、二組の親に見守られて育つようになれば、という。

あるソーシャルワーカーの話として「リクルートのときも、『子どもを助けてください』ではなくて『子どもたち、そして彼らの実親を助けてください』と呼びかけるべきです」と紹介する。

再統合では、里親は実親と1対1で子どものケアをするがそれだけではなくて、家計簿のつけ方や住居探しなど暮らしに必要なスキルを与えて、実親の良い「話し相手」になるべきだという。

このペアレント・メンタリング・プログラムを受けた家族は85%が早期の段階で再統合をはたしているという(通常の2倍)。参加した実親の7割が、親子再統合を果たした後も里親と定期的に会って、友人として、また子どもの大切な二組の親として関係を保っているという。

「実親と里親の架け橋の役目を演じているのは、子どもたちだった」というのが印象的。里親だけでなく、里親支援が充実していてはじめて可能になることだろう。