里親と親権

先に、親権を話題にしたので、里親と親権について考えてみたい。

親権については民法で「監護・教育権」「居所指定権」「懲戒権」「職業許可権」「財産管理権」「代表権」な どが定められている。このうち「監護権」「教育権」「懲戒権」の3つが里親に付与されます。

これで分かるように、里親には居所指定権がないので、子どもの居住地を決めることや反対することは出来ません。

親権とは違いますが、「保護者」についても調べてみると、学校教育法と児童福祉法とでは、保護者の定義が違 っています。学校の書類の保護者欄に里親名を記入していますが、学校教育法では里親は保護者ではない。ただし、児童福祉法では、保護者は「児童を現に監護する者」を含むため、里親は保護者 となる。一本化してほしいです。

親権を行使する者がいない場合は、未成年後見人を選定することを定めているため、法的には、法定代理人がいない子どもはいないことになっています。また、児童福祉法でも、児童相談所長が家庭裁判所に未成年後見人の選任の請求を行うことを定めています。 しかし、現実問題として、親などの親権を行使する者がいない子どもであるにもかかわらず、未成年後見人を選定されない子どもが少なくありません。そのような子どもでも、児童福祉施設では、施設長が親権を行うことが出来ます。しかし、親権者がいなくて、 里親に委託された子どもについては、親権を行うものがいないため、子どもは無権利状態にあります。児童手当を実施する際、誰に振り込むか厚生労働省から問い合わせがありましたが、この無権利状態の子どもが目立ちました。

他にもこんな問題が生じるでしょう。
住民基本台帳の登録、関係書類の交付申請法定代理人が申請しなければ、登録・交付等が出来ない。

・銀行、郵便局の預貯金通帳も法定代理人の同意が必要。

・本人確認法により、里親姓での通帳の作成は不可。

・携帯電話などの契約も法定代理人の同意が必要。

・契約の取り消し 未成年者が法定代理人の同意を得ないで行った契約は、法定代理人が取り消すことが出来るが、里親には取り消すことが出来ない。

・アルバイト、措置解除時の18歳の就業承認も未成年者が労働契約を締結するには、法定代理人の同意が必要 。(里親には子どもの居所指定権がない)

・子どもがアパートを契約する際に、繁華街のすぐそばなど不適切な場所に借りようとしていても反対ができない。(里親には子どもの居所指定権がないので反対ができない)