改正児童福祉法への付帯決議

平成28年児童福祉法改正。子どもの権利条約を1条に反映させるなど従来の改正とは異なる画期的なものだった。改正の元となった審議会に参加し、国会審議にも参考人として意見を述べた私としては、印象に残る改正だった。
改正の可決に際して、参議院厚生労働委員会は付帯決議を可決している。法的な拘束力はもたないから、もう付帯決議のあったことすら忘れている人が多いと思う。しかし、付帯決議については、政府は尊重することが求められている。
ではどんな付帯決議が行われたのだろう。
1つは「体罰によらない子育てを啓発すること」。2つ目が「今日の家庭を取り巻く状況の把握に努めること」。そして「親権を行う者の懲戒権の在り方について検討すること」。いずれももっとも基本的で、今日の子どもをめぐる問題を予見したようなものである。
それらが、どうして軽んじられるのだろう。子どもを第一義的に考えない大人、そして行政。最近アドボカシーについて考えている。子どものための代理人制度である。行政からも養育者からも離れて、純粋にひとりの子どもに寄り添い、制度作りなどにも子どもの声を反映させる。
子どもを、主体をもったひとりの人間として社会が仲間に入れる仕組み。権利行使の主体者として子どもをみること。
手元に「子どもの権利ノート」がある。内容は権利擁護の内容である。ところがそのなかにあるハガキは、虐待や暴力など権利侵害があったら連絡をしてください、とある。権利ノートと行政の考え方に乖離があると感じる。せっかく子どもたちの権利を私たちは擁護しますよ、と言っておきながら、権利を侵害されたらお知らせください、では温度差があるように思う。それも、お知らせくださいと言いながら、きちんと対処してくれない、きれいごととしての仕組みだったら怖くて利用もできない。そういう臭いを感じてしまうから、利用する子どももいない。