Q-15 親権など里親制度にかかわる法律上の問題について教えてください

『Q&A里親養育を知るための基礎知識』の15問目は、「親権など里親制度にかかわる法律上の問題について教えてください」というもの。弁護士の磯谷文明さんが答えている。

「下級審の裁判例で、都道府県の対応が違法とされる可能性を認めたものがあります。しかし、実際には都道府県は広い裁量をもっており、違法とされる場面はきわめて例外であると思われます」と、あまり踏み込んでくれていない。

「実親からの引き取り要求」と「委託中の児童に対する監護」について述べている。「実親からの引き取り要求」については家裁の承認によって措置されている場合は引き渡す必要はない、としている。たぶん、虐待を受けたりして家裁に判断をあおいだ28条措置のことだろう。それ以外は引き渡す必要があるが、その場合、児相は一時保護扱いとして家裁の承認をとるなどが考えられる、としている。

「委託中の児童に対する監護」については、都道府県知事の指導に従う必要がある、としている。親権者からの面会通信の要求に対しては判断を里親にゆだねてもよい、としているが、多くの場合、こんなことではなくて、児相と里親で判断が異なることで委託解除となるケースが問題になるので、そのことには触れてくれていない。措置権者である都道府県とよく相談して決まるように、としか書いていない。

参考として、児童養護施設で児童らから暴行を受けて障害を負ったケースで、職員に過失はあったが県の措置によって児童を養育するケースは公権力の行使にあたるので施設にではなく県に責任がある、と紹介している。里親にもこの可能性があると言っているが、これまでのケースで、里親の場合は里親に責任を求めるケースが多いのだ。

どうも、肝心の、里親の養育が不適切な養育と考えられるとして児相が子どもを引き上げることに対して、きちんとした見解は書かれていない。

一歩踏み込んだ、里親の身分の問題などについて触れてほしいと思った。