一時保護の里親活用を本気で考えよう

一時保護を見直す動きがある。保護と権利の両立が課題なんだという。少しずつ改善されてきているとは思うが、あまりにもゆっくりした動きだと思う。

戦後まもなくGHQからキャロルさんが日本に派遣されてきて児相を見て回った。児相に一時保護所を作るのは反対と言い続けたが、キャロルさんが帰国すると一斉に児相に一時保護所を作っていった(1947年)、という。ここからボタンのかけ違いが始まったのではないか。確かに戦後まもなくは戦争孤児が多く、集団的な保護もやむを得なかったのだろう。

アメリカの一時保護に関する小説を読んだことがある。姉と弟が親から引き離されて、姉は里親のもとに、弟は発達障害があって施設に引き取られた。それに納得のいかない姉が弟を施設から連れ戻す内容だった。

一時保護所にはいろいろなルールがあって、刑務所みたいだと思ったと一時保護所を経験した子どもが話している。集団生活には決まりごとがついてまわる。制約も多くなる。そういう意味では個別に養育すべきだろう。

要保護児童は原則家庭養育で、ということで児童福祉法も改正された。一歩進めて、一時保護も家庭生活で、ということにならないものだろうか。もちろん1日くらいは診断の要素を入れて一時保護所もやむを得ないと思う。しかし集団生活を強いるようにはしないことだと思う。

少し前のことなので、もう違っていてほしいが、あるベテラン里親のもとに一時保護で子どもが預けられた。小学校が近かったので、毎日送っていった。それがたまたま話題になって、新聞記事になった。それがもとで、その地域では、一時保護の子どもの通学が禁止になった。一時保護所や一時保護の施設の子どもは通学できないのだから、里親家庭の子どもだけ通学させるのはおかしいというわけだ。そういう通知がでた。

いま、一時保護所は全国に152か所ある。保護課長がいて、職員をいるわけだから、簡単に廃止できないのかも知れないが、職員のための一時保護ではない。

そうそう、こんな話も非公式に聞いたことがある。子どもを家庭から保護するのに、児相長の許可をもらうより一時保護課長のOKをもらう方が大変だ、というのである。一時保護所はいつも満杯だから課長の許可が重要だと。

一時保護の里親活用は、実際には多く行われているが、家庭養育の大事さから言われることはない。一時保護所が満杯だから里親に手伝ってもらっている、というのが児相の言い分である。

大きく視点を変えて、子どもの個別性を考慮して、集団的な生活ではなくて、家庭環境で保護してはどうだろうか。