里親の立場

このところ、里親の立場を考えない児相の対応が問題となるケースが増えている。というより、このケースの場合は子どもの権利と実親の親権の問題か。親権に比べて子どもの権利の方が強いはずだが。

こんな記事があった。

琉球新報 2021年12月29日

生後2カ月から養育している児童(5)の里親委託を児童相談所が一方的に解除するのは、里子の心の平穏や健全な成長を無視した不当な対応だとして、那覇市の50代夫妻が29日、沖縄県を相手取り、引き渡しの差し止めを求めて那覇地裁に提訴した。夫妻は28日に里親委託措置解除の差し止めを求める訴訟を起こしたが、地裁がその日に訴えを却下していた。 提訴したのは、里親の小橋川学さん(56)と妻の久美子さん(55)。小橋川さん夫妻は問題の深刻さを訴えたいと実名を公表し、会見を開いた。
 里親委託は親権者の同意がなければ続けられない。原告側によると、委託解除は来年1月5日付で、前日の4日に児相に引き渡さなくてはいけないという。里親委託後、実母と児童は一度も会っていない。
 29日に県庁記者クラブで会見した原告側代理人の加藤博太郎弁護士は、里親の権利は保護されておらず、社会問題になってきていると指摘。「単なる一家族の問題ではなく、里親行政の試金石になる裁判と考えている」と述べた。28日に提訴し、却下された委託措置解除差し止め請求訴訟は控訴する。
 訴状などによると、児童は5年以上、小橋川さん夫妻の下で育っている。発達障がいがあり、医師の助言もあって、実親ではないと知らせる「真実告知」をしていない。児相は12月、県外に暮らす実母の意向を踏まえ委託を解除し、児童を一時保護所に入所させるとの文書を原告に送った。
 原告側は児童の障がいや特性を考え、告知や面会に時間をかけるべきだと主張している。久美子さんは「実親に会わせたくない、告知をしたくないというわけではない。発達障がいが落ち着くまで、もうしばらく待ってほしい」と訴えた。

 

                    

5歳児の里親委託「児相の一方的解除は不当」差し止め求め提訴へ        里親側「子の精神にダメージ」 2021年12月28日 10:48

 生後2カ月から養育している子ども(5)の里親委託を児童相談所が一方的に解除するのは、里子の心の平穏や健全な成長を無視した不当な対応だとして、本島在住の50代夫妻が県を相手取り、解除の差し止めを求めて那覇地裁に提訴することが27日、代理人弁護士らへの取材で分かった。28日に提訴する方針。
 訴状などによると、里子は5年以上、原告である里親の下で育っている。発達障がいがあり、医師の助言もあって、実親ではないと知らせる「真実告知」をしていない。県外に住む実母が2019年に再婚し、生活が安定したとして、児相は里親に対し、里子に告知し、実母との面会を調整するよう要求。だが、新型コロナウイルスの影響もあり、告知や面会は先延ばしになっていた。
 今年に入り児相は告知と面会を進めるよう里親に強く求めるように。12月、親権者の実母の意向を踏まえ里親の委託を解除し、一時保護すると通告した。親権者の同意がなければ委託は続けられない。里親側は「里親のフォローなしに告知や面会を行うのは子どもにとって大きな精神的ダメージになるのは明らかだ」と主張。もう一度話し合うよう提案したが、児相は里子を一時保護所に入れるとし、来年1月4日に引き渡すことになった。
 里親は実母が今年離婚し、経済的、生活的に不安定な状況が予想されると指摘。一時保護の後、県外で暮らす実母に引き渡される見通しの中で里親委託を解除するのは「児童福祉法の趣旨や目的に反し、違法だ」としている。
 児相の担当者は「個別の案件には答えられない」とした上で、一般的に、実親が里親委託解除を申し出たら、虐待ケースでない限り、その日のうちに手続きを始めるとし「子の疾病や特性に関する医師の診断は重要であり、診断を踏まえて一時保護所で行動観察を行い、適切なプログラムを組む」と話した。