被災地と里親

東日本大震災を思い出す。何人くらいの孤児が出るのかの予想もつかないなかで、全国の里親会に、何人くらい預かることが可能ですか、と質問した。時間はかかったが、出てきたのは3000人を超える人数。

しかし孤児の人数がいつになっても出てこない。児相に問い合わせると、5月連休明けの学校に出ることでわかるだろう、と何とも気の抜けた反応。もちろん、復旧活動で忙しいのは分かる。でも、調べようとしないようなのだ。

被災地の現状は、津波被害が最悪。それで、道一本隔てたところはどうにか生活が成り立っているらしい。孤児になった子どもたちは、その生活の成り立っている地域の友人宅などに身を寄せているらしい。そこで、厚生労働省の担当課長に、近隣里親をつくって、支援体制を組むべきだと提案した。その時には分かったとの返事だったが、翌日の電話で、それは難しい。親族里親を機能させたいとのことだった。養育費はともかく、里親手当は出せるのか、を聞いたところ、国会での議論が始まった。結論から言うと、祖父母は血のつながりもあるし扶養の義務もある。叔父叔母についてはどちらかに血のつながりがなく養育里親として里親手当を出しましょう、となった。

孤児となった子どもたちは親族に預けられることになった。そこでも問題が出た。対象の子どもにお金が全国から集まるが、生活そのものが大変だというのである。ある親族里親家庭では、対象の子どもに見舞金などが出るが、実子は貧しい思いをしている、という。

ともかくとして、震災が起きて、孤児などの問題が出てきたのは数か月たってからだった。

今回の能登半島の震災でも、現状はインフラの整備などで忙しいことだろう。孤児対策なども大きな問題にならないかも知れない。しかし手順としては、まず孤児が出た場合の受け入れ態勢を作ることだろう。もちろん活用しないにこしたことはない。

あとは親族里親への支援である。里親としての心構えのない人も多いだろう。基本的な知識をもってもらうことだ。また、既存の里親会は養育里親が活動の中心で、親族里親をないがしろにしてきた。地域によっては親族里親は里親会に加入できないような内規を作っているところもある。

近年、里親会も行政も、親族里親をないがしろにしてきたきらいがある。震災地区は当然のことだが、全国的にも親族里親を見直し力を注ぐべきだろう。