本 『里親制度の史的展開と課題』を読む③

私が里親登録をしたのは平成4年ごろ。前に書いたかもしれないが、里親会の会合に行くと会社の会長だという人がお年玉だといって1000円札を子どもたちに配っていた。その人が支部長だった。
里親というと篤志家がなるもので、こういうことをするものなのかと面白かった。実はその日をもって私が支部長になるので、こんなことはやりたくてもできない、と思ったものだ。

支部長になると県里親会の理事になる。里親会の金の動きをみると、大きい金額は全国里親会から振り込まれる里親促進費。これは国から出ているもの。全国里親会を経由して、都道府県にばらまかれる。促進費ということで、里親開拓の担当者をつけるように、と言われているようだが、とくに強く言われているわけではない。で、それと同額のお金が今度は分担金として全国里親会に流れていく。なんのことはない、胡散臭いマネーロンダリング。それでも迂闊ながらそのお金の意味していることは知らなかった。
貴田さんの本を読んでいて、国は里親に関する事業をおろそかにして、こうした方法で懐柔していた、ということを知った。全国里親会を維持するために使われた。その会長は全米の里親大会などに夫婦で毎年出かけて行った。30年会長を続けて、どうだろう、主だった仕事としては里親のところに来ている子どもでも幼稚園に行ってもよくなり(その前は二重措置と言われていた)、子どもを扶養家族として認められた。これだって、要望が通ったというよりは牡丹餅のように落ちてきたものだ。
歴史の本を読んでいて、心当たりのところがでてくると、なるほどと合点がきく。犯罪に近いのに誰も何も言わなかった。官民そろって施設維持。飴にもならない飴を里親はもらっていたわけだ。子どもにとってなにがよいことか、まじめに考えられてこなかった歴史。