本 『里親制度の史的展開と課題』を読む①

『里親制度の史的展開と課題――社会的養護における位置づけと養育実態』(貴田美鈴著・勁草書房)を読む。本体価格6500円で一般里親が読むには手に取りにくい本といえる。まだ読み始めたばかりで、読みながら読後感を書いていきたい。
序章で、社会福祉の成立について「歴史的に先行したのは援助そのものであり、それがまず事業として制度化され、やがて政策主体によって掌握される」とする古川氏の言葉を引用する。里親についてはどうなのか。ともすると政策論だけで終始してしまいがちになるが、研究を4点に分けて分析課題としている。
1.なぜ里親になるのか、その動機はいかなるものであり、里親開拓に繋げていけるのか。
2.里親や養親は社会的環境とどのような関係性をもっているのか。
3.里親や養親は自己の役割をどのように認識し、位置づけているのか。
4.里親や養親はどのような問題に直面し、どのようなサポートを必要としているのか。
このところの里親支援やフォスタリング機関の議論は上記のような議論がなされないまま進められてきているように思う。その結果、事業体制のある児童養護施設乳児院が中心になって里親支援の事業が行われようとしている。里親の現場がどうなのかよりも、まず支援事業ありきのような気がする。その結果、里親養育は経済的に低廉なはずがコストの高いものになりそうである。
フォスタリング機関の担うリクルート事業についても、上記のような項目が理解されていなければ、事業のイメージそのものが浮かんでこないだろう。
序章を読んだだけで書き始めるのは早計な感じもするが、視点の確かさを感じながら読み始めた。