本 『ふるさとって呼んでもいいですか 6歳で「移民」になった私の物語』

これも次回の里親関係の読書会の「課題図書」。イランから観光ビザで入国し、超過滞在のまま育った女の子が、いろいろなことに困りながらも大学を卒業し結婚し子どもも生まれる。在留特別許可を得て、一時イランに帰るが、そこは夢にまで見た祖国ではなかった。アイデンティティに違和感をもちながらも日本で暮らす。いつ強制送還されるか分からない恐怖、そして健康保険のない不自由さ。外見による差別。
いま、里親家庭にも外国にルーツをもつ子どもたちが多くいる。そうした子どもたちの現実を理解するのにお役だと本だと思う。
この本からの紹介だが、外国籍の子どもは全国で約8万人、日本籍の子どもも含めて日本語を習う必要のある子どもは約44000人。学校に行っていない未就学児は約8400人だという。私たちの知りたい保護されている子どもたちのなかには外国籍の子どもたちは何人いるのか。実は調査もされていない。
しかし、発表がないだけで調査はされているのではないか。不法滞在の場合健康保険もないわけだが、保護児童にはある。保護児童の方が恵まれることになるし、そうしたことに疑問をもつ人もいるだろうから。
それにしても差別を受ける側からの実態という意味で、とても参考になる本だと思った。