両輪の輪、だろうか

長く施設長をしている人が、これからは施設と里親、仲良くやっていくべきでいわば両輪の輪だね、と話す。そんなに目くじらを立てるわけではないが、平成初期に里親になったものとしては、違和感を覚える。当時里親は施設の調整弁だった。施設が満杯のときに里親への委託がなされる。里親委託率が7%(全国での里親委託数は2200人)で、そのころ、両輪の輪の話は聞いたことがなかった。当時に言ってくれていたら信じるのに、と思った。

先に、特殊里親のことを書いた。昭和30年代の話。ナシ園の農家が里親となって、知的障害のある子どもを労働として使った、と施設関係者が話す。そういうことがあったかもしれない。しかし、そうした自立の難しい子どもを切り捨てることなく、措置解除後も面倒を見てきた人への思いも大事だろうと思う。少なくとも施設にそうした配慮はなかったわけだから。