Q‐28 養子縁組を前提としない比較的長期(2~3年)の委託について教えてください

『Q&A里親養育を知るための基礎知識』の28問目は、「養子縁組を前提としない比較的長期(2~3年)の委託について教えてください」というもの。前問と同じく宮島清先生が答えている。

宮島さんは、この2~3年の委託が「最も難しい委託」だとしている。その理由として「予定通りに行かない」「里親家庭の子どもの存在がとても大きなものになってしまう」「子ども自身が里親家庭の子どもの度合いを強めてしまう」の3点を挙げている。

しばしば聞かれることとして、1か月の予定で預かったのだがもう3年にもなります、という里親の言をあげている。実親の想いは早くとしていても、児相としては「願いの内容」「その実現性」「実現のためのサポート」「見直しの時期と方法」「予見される別の可能性」「それへの対処」などがあり委託がながくなってしまう、という。

また、里親家庭で暮らす子どもは、2~3年もたつと、里親を本当の親だとの度合いを深めてしまう、という。これは里親にとっても同じ。しかし、宮島さんは、だから子どもと一定の距離を保ってください、というわけではない、ともいう。それでは里親による養育のよさを放棄してしまうことになる。

大切なことは、里親との関係、里親家庭での暮らしでみつけた良いものを、子どもと実親との関係で活かせるかどうかだという。そうしたことが、委託の成否を分けることになると。

この本が出版されたころに比べて、このくらいの期間の委託は増えているように思う。非常に重要なことをいっているが、里親にとってはかなり難しい、と言わざるを得ない。だれかきちんとした研究をしてもらいたいものだが。