K賞 5月

木ノ内博道賞はどうも売名的なにおいがしてしまう。おちつかない。K賞ということにしよう。
5月の賞はバーネットの『秘密の花園』(いまや古典・海外小説)。
主人公の少女はイギリス人だがインドで生まれ、我が儘に育つ。ある日、両親とも急死し、イギリスの叔父のもとで暮らすことになる。
読んでもらえば分かることだからあらすじは割愛するが、少女がやってきたことでその家の問題が解決していく。子どもの成長はある種のダイナミズム。それは里親家庭にも言えることだ。ともすると恵まれない子どものために里親になろう、というような人がいるが、そんな一方的なものではない。もちろん、子どもに癒されようというのもおかしいが、一方から一方へという一方通行の在り方ではないことに着眼するべきだと思う。
秘密の花園』のもつ、子どもの成長という健康さ。委ねてもいいものが子どものなかにはあるということに大人はもっと気がついてもいいように思う。