守秘義務・権利擁護

里親には「最低基準」で、受託している子どもと実親について守秘義務が課せられている。このことを厳格に扱うことで、里親が孤立したり、子どもが悲しい思いをする場合がある。
守秘義務を負っているからといって、里親は子どもや実親について全く話せないということではない。たとえば、警察や弁護士、先生は守秘義務を負っている。だから先生に子どもの話をすることは守秘義務に違反していることにはならない。
里親同士の場合も同様のことが言える。守秘義務を負っている者同士が、守秘義務の重要さを理解したうえで話し合うことは構わない。そうしないと里親サロンもできなくなる。
しかし、行政は拡大解釈をしてくる。子どもの名前も守秘義務の一部だから公開してはならない、里親であることを明かすことで子どもが里子であることが知れてしまう、という具合に拡大解釈をする。
さらに、子ども本人が話すことをとめようとする人がいる。子どもが自分のことを話したい、集合写真でのけ者になるのは嫌だという場合に、それを制限するのはむしろ子どもの権利を侵害していることにならないだろうか。
規則で決めるのではなくて、権利主体者が物事を決めるべきだろう。旧児童福祉法は子どもを守ることに主眼が置かれていた。今は、子どもが権利の主体者であって、愛護するよりは権利を擁護することが大人にとって重要なことになっている。
一律に守秘義務だから、と押し付けることが、場合によっては子どもの生きる権利を侵害するような局面にだってなってしまうのだ。