ファミリーホーム制度化の頃(思い出)

昨日書いたファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)がどう定義されるのかが気になっている。

ファミリーホームは里親の拡大バージョンで、児童養護施設の小規模化はグループホーム(小規模児童養護施設)と言われる。グループホームについては、児童養護施設の多くが定員50人以上の大規模施設で、これが問題となって小規模化しようという流れの中で出てきたものだ。

昔語りになるが、私は平成19年当時、ファミリーホームの制度化の時期に、厚生労働省が事務局となっていた社会福祉審議会の児童部会、社会的養護専門委員会の委員に里親として初めてなった。その後、名称は社会的養育専門委員会となり、こども家庭庁が設置されて、令和5年の政令で「社会的養育・家庭支援部会」に変わった。

平成19年頃、巷にはファミリーホームがどんどん増えていて、業界団体ともいえるファミリーホーム協議会も設置されて制度化の要望書も出ていた。機運の高まりもあり、施設から里親中心の養護に変えていくにはファミリーホームが必要だろうということになっていた。

平成20年の児童福祉法改正で、養育里親と養子縁組里親を分ける動きもあって、この時期にファミリーホームの制度化も同時に行おうとしていたのだ。

事務局である厚生労働省家庭福祉課の課長から、ファミリーホームの法的根拠として福祉事業法第二種における施設として位置付けるとの説明があった(現在は第二福祉事業法)。委員は漫然と聞いていたが私は「施設から家庭的養護に切り替えるのに施設事業とはおかしいのではないか」と質問したことを覚えている。課長から「それが難しいのであれば制度化はできない」と捨て台詞みたいな強い言葉があったのを覚えている。

余談になるが、この時に私が「家庭的養護」といったのは、今では違う。当時里親による養育は家庭的養護と言った。その後、里親の間から「家庭的養護(ファミリーライクケア)というと外国の人がなぜライクをつけるのか」との指摘があったので、家庭養護としようということになった。そのうち、児童養護施設団体の方から、里親が家庭的という言葉を使わないなら、施設の小規模化を家庭的と呼ぶようにしたいとの申し出があった。里親団体としては特に関知しないことで、以降施設側が家庭的という言葉を使うようになった。近年では養護という言葉も「子どもは護られるだけの存在ではない」という子どもの権利条約の観点から、養育と呼ぶ動きが出て『里親養育』になった。言葉にも変遷があるということだ。

この会議で施設の小規模化との関係を議論する動きもなかったと記憶する。