全国里親会を退会したい、という電話

他県の友人から電話があり、全国里親会を退会したいのだが、という相談を受けた。退会のメリットやデメリットを教えてくれと言う。それなら、退会した里親会に聞いてみたらいいでしょう、とそうした里親会を紹介した。

全国を名乗っている里親会が幾つもの地域の里親会に抜けられたら困るのではないかと思う。地域の里親会を代表する形で厚生労働省に要望したり厚生労働省の考え方を地域の里親会に伝えたりしている。一方で、地域の里親会が、自分たちのためにならないと思うならやめても仕方がないのではないか、とも考える。全国里親会も支持されるだけの活動が望まれる。

こうした動きの発端は、会費の値上げらしい。地域の里親会の会員の一人につき年間5000円を徴収するというものだったと思う。それまでは2000円だったものが、倍以上に引き上げられた。地域によっては会費をわずかにしか徴収していない里親会もあり、運営の面で困っているようなのだ。地域の里親会によっては、措置費のない未委託里親も会員にしていたりする。その人たちの分もとなると里親会の運営も厳しくなってくる。地域の里親会によっては、会員数の実際よりも少なく全国里親会に伝えているところもあるようだ。

考えてみれば、私が里親になった30年くらい前は、厚生労働省から里親開拓費として地域の里親会にお金が出ていて、ほぼ同額の協賛金を全国里親会に払っていた。確か分担金と呼ばれていた。なんのことはない、国のお金が名目を変えて全国里親会に支払われていたことになる。同時に、地域の里親会の会計報告を全国里親会が集めていた。20年ほど前からこうしたことがなくなり、地域の里親会の会費で賄われことになる。それまで気軽な親睦会程度の里親会が、会費を徴収しないと運営できないようになってくる。

地域の里親会の歴史を見ると、必ずしも里親が里親会を立ち上げたものではなかった。児相職員が個々の里親に連絡するのではなくて、一括事務連絡ができればいいと、児相が作り、多くは職員が里親会の事務を代行していた。里親だって、里親会の運営をしたくて里親になる人はいないだろう。順番とかで、里親会の会長などをやることになる。

もう一つ、当時は日本財団からの寄付もあった。その、年間数千万円の寄付も徐々になくなり、日本財団は独自に里親開拓、里親支援などを始めていった。

公益法人として、スタートの時から1億円の基本財産が、これも日本財団からの寄付で存在していた。全国里親会は、それを切り崩すなどして活動してきたが、財務の立て直し、ということであれば会費の値上げしかない。その辺の説明がないと、単に、会費の大幅値上げだけが独り歩きする。

振り返ってみると、昔は里親支援団体はなく、里親会の持つ意味は大きかったと言える。いまは、主に児童養護施設乳児院などが里親支援相談員を置いたり里親支援機関になっていたりする。それだけ、里親会の地盤沈下がおこっていると言える。