里親になって気づくこと

先に、無国籍・無戸籍の子どものことを書いた。養育の経験があるとそうした記事に関心が寄せられる、と。

それで思うことだが、里親登録して、その時に事前勉強してみようと思っても、戸惑うばかりではないのだろうか。虐待を受けた子どもとか、多くの事例のあることに関しては勉強しておくのもいい。しかし、子どもが来てみないと、その子どもに対する養育のニーズはなかなか分からないものだ。

まずは、年齢にもよるが、養育環境を整えることだろう。そして、子どもが来てから、その子の養育に必要な勉強をすることだろう。一口に発達障害といっても、その子の理解にはなかなか近づけないものだ。

我が家にきた最初の子どもは無国籍だった。この場合でも、事例によって対応はさまざまだ。2番目の子どもは、お父さんがヤクザで刑務所に入っていた。お母さんはガンで亡くなっていた。お父さんのようにヤクザになりたいという願望が強かった。一概にお父さんを否定するような言い方はできない。それよりなにより、心臓に穴が開いていて、このままだと20歳くらいまでしか生きられないだろうと言われていた。大手術だが、安定した里親家庭暮らしの時に取り組むのがいいだろうと感じた。

子どもが来てみると、課題を持たない子どもはいないことに気づく。専門家のようにではなくて、里親として、その課題に向き合うのだ。

だから、里親希望者の方にお会いして、どんな準備をしたらいいのでしょうか、と質問されると困ってしまう。むしろ固定観念を持たないように、と言いたくなる。