社会的養護を離れた若者の初の調査

厚生労働省が施設や里親から離れた人たちの初の調査を行った、との情報。

なぜ今ごろなのだろうか。思いだしてみれば、十数年前の国の審議会で、社会的養護から離れた人たちを調査すべきだと発言した時、18歳を過ぎた人たちは厚生労働省の対象ではないので調査はできない、との回答だった。やっとこういう調査ができるようになった、と感じるものの、遅すぎる。成人した人たちを調査してこそ、社会的養護がきちんと機能しているのかどうか判断できるはずなのに。

ところで今回の調査、児童養護施設と里親家庭をでた人たちを一緒にしている。委託率から言えば、里親の養育している子どもは2割に過ぎない。8割が児童養護施設出身者のはずだ。

分けて発表してもらいたいもの。高校卒業後の進学を見るかぎり、児童養護施設は1割、里親家庭からは5割。一般の家庭と比べて5割でも少ないのだが。

また、調査対象者全体のうち、本人に調査案内が届いたのは35.7%だという。むしろ届かない人こそが多く問題を抱えているだろう。

海外の調査だと、多くはその場所の人のうちで社会的養護出身者の問題を明らかにする。たとえば刑務所を対象にするなど。追いかける調査しかできないのはやはり縦割り行政の問題があるからだろうと思う。

調査の発表が、むしろその限界を感じさせる結果となっている。