ケア階級への評価

イギリス在住のプレイディみかこさんが6月11日の朝日新聞に寄稿している。そこで、人類学者デヴィット・グレーバーの「ケア階級」を紹介している。他者をケアする仕事(医療・教育・介護・保育など)をしている人々のこと。バスの運転手、ごみ収集員。社会的養護関係者もこのなかに入るだろう。

みかこさんは、コロナ禍で明らかになったのは「この人たちがいなければ地域社会は回らない」。ロックダウンのなかでケア階級の人たちはキー・ワーカーと呼ばれて英雄視されたという。

こうしたことを通してみかこさんは「ヒトとしてのわたしたちは壊れやすい生物学的存在にすぎず、互いをケアしなければ死んでしまうということに気づいた」という。

一方、このケア階級と対峙した概念としてグレーバーは「ブルシット・ジョブ」(どうでもいい仕事)を唱えているという。コロナで、命か経済かという問いが生じたのは奇妙なことだ、と。ケア階級がまるで経済とは異なるように考えられている。

みかこさんは多くのケア階級が低賃金で、まるで経済とは別のところに置かれているようだと指摘している。

ーーケア階級の再評価こそが「新しい日常」の課題と言えるだろう。