本 『里親制度の史的展開と課題』を読む④

2003年の「里親制度の拡充・整備に関する研究会報告書」では里親を社会福祉事業とすることが盛り込まれていた。しかし、本来のボランティア的な里親については、そのボランティア的な意義を重んじるべきである、としている。たぶん専門里親について言及したのだろう。その後、この問題に踏み込むことはなかった。現在に至るまで、この辺の議論はない。このブログで先に言ってきたように、里親の身分保障はお粗末なものだ。

さて、私が関わっていない歴史については当然のことながら臨場感に欠く。あ、この現場には私もいた、というようなところを読み始めた。それは、2007年に柏女霊峰を座長とする「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」が中間報告をまとめた、というあたり。貴田さんは自治体の取り組みまでは調べていないと思うが、千葉県では同じ柏女霊峰さんを委員長とする「社会的資源あり方検討委員会」が発足している。2005年のことだ。なぜか私が副委員長になっている。いまでも千葉県のHPにアップされている。

この辺が大きな変化へとつながっていく。私も国の「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」に出て意見を述べた。

その中間報告を契機に、社会保障審議会児童部会に社会的養護専門委員会が設置された。里親として初めてのことだが、私も委員になった。中間報告に書かれたことを児童福祉法改正に反映させるためだ。そして平成20年の改正へとつながっていく。養育里親と養子縁組里親を切り分け、ファミリーホームを制度化し、里親支援に取り組む、とした。

極私的なことだが、この年、千葉県里親家庭支援センターを発足させた。もう10年以上が経過した。

里親支援は平成23年(2011年)、「里親委託ガイドライン」や「課題と将来像」など幾つかの通知となって発出される。翌年には里親の養育指針などもまとめた。高橋課長のもとで積極的に社会的養護の転換が行われた。