沖縄県の里親委託解除の最終報告

0歳から5歳まで里親家庭に委託されていた子どもが突然委託解除になったケースについて、琉球新報などの記事を随時紹介してきたが、調査委員会から昨日(2月2日)最終報告が出たという。

報告書では、児童相談所が実親と里親に対立関係を生じさせるなかで、委託解除前に別の里親への委託を打診していた事実が明らかになった。また、知事の命令を受けた調査委の検証作業に一部資料が提供されないなど「組織防衛的対応」があったこと、昨年6月の中間報告後に改善した形跡が見えない、なども指摘して、調査委は、県が改善していくなら「検証できる第三者評価を加えるべき」とも提案している、という。

現在子どもは新たな里親宅で暮らしている。児相が実親と里親の対立構造を作った後で、弁護士が法的対応を前面に出す姿勢がみられて、福祉的ケースワークを放棄したと指摘している。

また、この経緯について、ケース会議の記録では、弁護士が何度も指導的意見を述べる一方、医師による医療的知見が一時保護などの意思決定に用いられた形跡がみられなかったことも付け加えている。

こうした対応に、調査委員会の副委員長は、児相の「総合的判断という言葉がマジックワード的に使われている印象をもつ」と語った。児童福祉に心を砕く職員がいる一方、「この子がどう思うかが語り続けられていないことが問題」と語った、という。

調査委員会の委員長は、報告書は児相職員の職務批判ではないとして、「子どもを中心としたケースワークの実現と多様な知見を組織として尊重し、取り入れる制度運営を望みたい」と語ったという。社会的関心の高い事案を調査する委員の立場は「里親側でも実親側でもない」と何度も強調していた、という。

調査委の業務はいったん終了し、今は県の特別支援チームを見守る形になるが「今後本児が自らの未来を選択することができるよう強く願っている」と児童の最善の利益を願った、という。

調査委の最終報告だが、なんとも、後味のわるい報告と言える。全国で起きている委託解除と里親登録解除と同様の問題が見え隠れしている。