脆弱な家庭が当たり前なのか

続けて読んだ小説が2つとも家庭の危機なのに、それが危機というより日常的なのに少し驚いた。一つは雑誌『すばる』の新人賞をとった「犬のかたちをしているもの」。奥さんが婦人病のためセックスができない。そこに妊娠をした女性があらわれる。旦那の子どもだ。出産前からその子をもらってくれ、という話。

もう一つは「そして、バトンは渡された」。今年度の本屋大賞を受賞しているからすでに読んだ人もいるだろう。17歳の女の子は苗字がくるくると変わって、なんと7回。父は3人、母は2人いる。

どうも常識がぶっ飛びそうな内容なのだが、もうプロットとしてのそうした小説には誰も驚かないようだ。