すでに養育中にいただいている恩返し

年を取ると涙が目じりの皺に入ってパチパチやっても乾かない。手で拭っていると家内が起きてきて「どうしたの、泣いてるの」と声をかける。「うん、泣いている」とは言えなくて、余計なお世話だと思う。
NHKのテレビ小説「なつそら」も終盤に入って、戦争孤児だった男が結婚して、育ての親もいよいよ手持無沙汰。これからは恩返ししたいと言う男に対して、育ての親は、もう十分恩返ししてもらったからいい、と答える。
まあ、それだけのこと。だけど子育ては一方通行のものではない。子育てを通じて、養育者も子どもからいろいろな恩恵を受けているのだ。改めて恩返しなんかはいらない。里親として、子どもと一緒に暮らすということは、そういう贈与の構造になっている。