木ノ内博道の月刊里親大賞『おかあさんのたんじょう日』

毎月、里親関係の本で賞を設定しようと思いながら、今日はもう6月も末。今月の大賞は『おかあさんのたんじょう日』にしようと思う。

『おかあさんだいすき』というなかの一篇。必ずしも里親関連ではないが、里親にもいいんじゃないか。

今日はお母さんの誕生日。でもなにをプレゼントしていいか分からない。それでいろいろな動物になにがいいか聞いて回る。でももう家にあるものばかり。森のクマさんに聞いてみたらという提案をもらうが、怖くてだれも一緒に行ってくれない。少年は一人で森に行く。クマはガオォと吠えて怖そう。それでも、相談すると、いいものを教えてあげよう、と耳元でひそひそと教えてくれる。

少年にとっては森という未知の世界の大きなクマという怖い体験のなかで、母への誕生日の贈り物を教えてもらうお話だ。

帰って、お母さんに「誕生日のプレゼントをあげるけど当ててごらん」というが、お母さんは当てられない。少年はお母さんに飛びついてハグをする。それがクマの教えてくれたプレゼントだ。

愛はどのように伝えることが可能なのか。それを教えてくれる絵本。里親家庭に来る子どもたちも愛を伝える体験の乏しい子どもたちだろう。愛をテーマに話しながら、里母も子どもを抱きしめてあげたらどうだろう。

冒険のすえに手にする愛のプレゼント。読んであげるときには、クマに出会うときは怖く表現するんですね。怖い体験のすえに手に入れる愛。それは、秘儀のようでもある。