特別養子縁組の年齢が15歳まで引き上げられる

特別養子縁組、これまで30年間、原則6歳までだったが、それを15歳未満にまで引き上げようとの動きがある。言われ始まって4,5年たつ。やっと動き出せるが、検討されているあいだに状況はずいぶん変化してきたなあ、と思う。

大人の都合ではなくて、子どもの福祉のために特別養子縁組は重要だ、という認識がさらに強まってきた。保護を必要とする子どもが家庭復帰をすることができない場合は、パーマネンシーの観点から、長期安定的な養育がなされるべきで、それは里親でなく特別養子縁組、ということになってきた。子どもの権利条約の趣旨に沿っての方針だ。

ということは、特別養子縁組が私的養育ではなく、限りなく社会的養育の領域に入ってきたということだ。にもかかわらず私的養育という形は変わらないままだ。私的養育だから支援をしなくてもいい、という考えのようだ。経済的な支援、養育の支援、それらをもっと強化すべきなのではないか。

また、子どもの権利が児童福祉法の基本に置かれる時代になって、出自を知ることも大事な要素になってきている。にもかかわらず、戸籍謄本などでは特別養子縁組が分からないように工夫されている。養父養母ではなく父母と書かれている。これは、子どもにとって出自を知らせないように機能するのではないだろうか。

いずれにしても、年齢の引き上げだけでなく、社会的養護としての特別養子縁組についてもっと議論されるべきだろう。