ネットで語られる神は、私たちの概念と大幅に異なる。
少女たちの間で語られる神は、とりあえず救ってくれる人のこと。カラオケやネットカフェがコロナで閉鎖されて家出少女たちの居場所がなくなった。それで、今年の4月には、ツイッターでのこうした少女らに無料の宿泊提供先の呼びかけが急増したのだという。神というよりも餌食にしようと手ぐすねひいている「悪魔」のような場所ではないのか。
しっかり見守る仕組みが必要だ。
武漢でのコロナ騒ぎは昨年から。そして日本で感染防止に乗り出したのは今年の3月くらいからか。騒ぎが起こると、子どもの情報は消える。そんなことを思いだしたのは昨日今日の新聞各社が、コロナによる子どものストレスを相次いで記事にし始めたことから。いよいよ、ある段階、飽和点のようなものを超えたのだろうかと感じた。しかし、見るべき記事はなかった。
3.11直後に被災地を回ったことについては何度かここでも書いた。3月の下旬、被災地の児相長にも何人かお会いした。残念ながら子どもの現状把握については他人事だった。5月の連休明けになれば学校も始まるだろうから少しは分かるかも知れません、というコメントだった。おいおい、それでは学童前の子どもはどうなるんだ、と声には出さないが思っていた。
今回のコロナでも、学校給食のことや授業のソーシャルディスタンスが話題になるほか、あまり掘り下げた話題に乏しかった。もちろん事件のいくつかは報じられた。母親が育児を放棄して男友達と旅行に行ってしまったことや虐待についても。
しかし子どもに関する記事量は圧倒的に少なかった。コロナ感染防止の難しさで一喜一憂してみたり、マスク配布のニュースとか。
さあ、ある種の飽和点を超えて、子どもに関するさまざまな情報が報じられる時代となってほしい。
コロナのニュースに取り紛れて社会的養育の情報が十分でないという話をよく聞く。そこで、手元の情報をまとめて書いておきたい。
厚労省関係では厚労省人事が8月7日にあり、子ども家庭局についてはすでに触れた。自治体の計画について「みえる化」に取り組むと8月初めに発表している。今後は8月末に概算要求が取りまとめられるはず。厚生労働省のうち子ども家庭局のものをみると、来年度の取り組みが見える。また、9月には、今年度の措置費が発表になり、遡って今年度分が支払われることになる。里親手当が子ども2人目以降も1人目の金額が支払われるようになる。
全国里親会関係では、10月下旬に会長会議・研修会が計画されている。
奨学金などについては畠山記念文化財団、フィリップモリス(関東甲信越静エリア)などの動きがある。WAMも公募を始めている。
社会的養護関連の研究所開設の動きがある。早稲田大学が日本財団の支援を受けて開設するとしている。
大会などイベントでは、日本子ども虐待防止学会の大会が11月28日29日石川県で開催される。FLECフォーラムが来年1月に予定されている。正式な発表はまだ。また、日本フォスターケア研究会が例年であれば12月に開催されている。
子どもの家庭養育推進協議会では8月に提言を厚労大臣に手渡している。
以下は新聞記事。
『妊婦が孤立した状況で出産が迫っている場合などに限り匿名で出産できる「内密出産」について、熊本市は24日、導入を表明している同市の慈恵(じけい)病院に「法令に抵触する可能性を否定することは困難」として実施を控えるよう要請した。病院によると、これまでに実施したケースはない。
同病院は親が育てられない乳幼児を匿名で受け入れる施設「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を運営。2019年12月には、望まない妊娠をした女性が匿名で出産できるよう、病院の新生児相談室長に身元を明かすのを条件に匿名での出産を認める内密出産を導入した。
同病院と協議を続けてきた市は、内密出産が子どもの戸籍や出自を知る権利について定めた法令などに抵触する恐れがあるとして、法務、厚生労働両省に見解を確認していた』
――知る権利が担保できないから内密出産は許可できない、というのも視点の置き方がどこか違っているのではないか。今は内密出産を選択せざるを得ないが、いずれ明かせるときが来るかも知れない。そういう方法を講じた内密出産ではどうなのか。
困難を抱えた人の側に立つことがまずは原則なのではないか。
子どもの頃から難聴だった。それが幸いして、若いころ、倒産する会社への入社を免れた。これだけでは説明不足だろうが、近年とみに聞き辛くなった。気楽なことを言っていられなくなった。
ところで、コロナ禍の現在、手話が評価されつつある。軽く使うのはオンライン会議で。「こんにちは」「ではさようなら」と。
ある小学校では給食の時間におしゃべりが禁止されているので、「頬をかるくポンポンとたたき、手のひらをいったん下に向けた後、返した手を相手に向ける」、それは「おいしかったですか」の意味。
新型コロナは人の生きづらさに気づかせてくれる。障害者だけが感じていた不便さに社会全体が気づいたともいえる。
子どもの生きづらさ。老人になって振り返ってみると、生きづらかったと思う。障害のある人は生きづらいと思うが、障害がなくても生きづらかった。私たち里親家庭では、そうした子どもも受け入れている。
さあ、今日も新しい朝を迎えて、大いなる気づきとともに生きていこう。
厚生労働省は、自治体の社会的養育計画目標が低迷するなか、自治体ごとの実施状況をレーダーチャートで「見える化」すると発表した。
5年以内に3歳未満の里親委託率75%以上とする目標に対して、達成する自治体は1割にとどまっている。
厚生労働省のとりまとめ(6月15日現在)によると、70自治体のうち66自治体から提出があった。千葉県、千葉市、鳥取県、横浜市が台風被害や新型コロナで未提出。
提出のあった都道府県(市)の目標をみると、国の示した5年目(2024年度末)3歳未満の里親委託率75%をクリアしているのは7自治体(福島県、岡山県、大分県、川崎市、相模原市、京都市、福岡市)。また国の示した7年目(2026年度末)3歳以上就学
前の里親委託率75%についても、上記の7自治体。
国が示した10年目(2029年度末)学童期50%以上については、14自治体が目標をクリア(宮城県、茨城県、群馬県、新潟県、山梨県、滋賀県、岡山県、高知県、川崎市、相模原市、静岡市、京都市、福岡市、明石市)。
多くの自治体が、国の示した目標値を大きく下回っている。ちなみに国の示した数値から大きく乖離しているのは、3歳未満については東京都(14.1%)、大阪(25.5%)、広島県(29.0%)。3歳以上就学前では、長崎県(37.4%)、兵庫県(37.9%)、東京都(38.2%)と続く。と言っても未回答の自治体が38自治体ある。学童期以降で乖離の大きいのは、神奈川県(24.6%)で30%台の自治体が23ある。