Q-21 里親委託措置とはどういうことか教えてください

『Q&A里親養育を知るための基礎知識』の21問目は、「里親委託措置とはどういうことか教えてください」というもの。柏女霊峰先生が答えている。

「里親委託措置とは、いわゆる措置委託制度の一環として行われるものです。措置委託制度は、日本国憲法第25条に規定する国の社会福祉に関する義務から導き出された社会福祉事業法第5条の『国、地方公共団体の民間社会福祉事業への責任転嫁規定』と憲法第89条の『公の支配に属しない事前、教育又は博愛の事業に対する公金支出禁止規定』とを、当時の民間社会福祉事業の実情を踏まえて整合化させるために導き出された、わが国独特の社会福祉実施体制です」と言っている。

分かりやすく言うと、行政庁が一定の要件を満たす者を判定のうえ措置という行政処分をする、ということ。ここでは施設も里親も同じである。ところが、同じ措置費でも里親への支出のうち里親手当は雑所得扱いになっていて課税の対象になっている。施設の場合は事業費、事務費となっている。

建前は同じでも、里親と施設では運用面で違っている。

施設内で、子ども同士がふざけ合って障害を負った場合、職員のせいではなく公的な責任となる。一方、里親の場合は里親の責任になって、親からの訴訟などで里親が支払っている。

里親の身分保障は大きく立ち遅れているように思う。