特別養子縁組の年齢延長の意味

民法の改正によって特別養子縁組をする子どもの年齢が6歳から15歳未満にまで引き上げることになった。養子縁組をよく知らない人から、それにどんな意味があるの?と質問があった。

現在、特別養子縁組というと、多くは新生児の縁組。はたして15歳と拡大したがすぐにそうした子どもの養子縁組があるのかどうか。子どもの虐待が増えているから対象年齢を広げた、ということだが、里親から聞こえてくるのは、虐待された子どもの養育は非常に難しいということ。そうした子どもを十分な支援のない特別養子縁組にすべきだろうか。それだけでは片手落ちで、特別養子縁組についても社会的養護の範疇とすべきではないだろうか。
その辺の問題意識がないのであれば、被虐待児の支援というより棄民政策と言えるかも知れない。これからは児童福祉法の改正などで、しっかり対策をこうじていってもらいたいもの。
今回の改正で重要なのは、実親の同意撤回に制限がついたことだろう。縁組に同意した実親は2週間したら同意を撤回できなくなる。これまで養親は実親から同意を撤回されるのではないかと戦々恐々としていたから、前進ではあるだろう。ただ、実親の観点からみれば、養子縁組に出すことで悩んでいる実親にとってはハードルが高くなったといえる。
特別養子縁組をした子どもや養親に対する支援は誰がやるのか。行政関係者は「養子縁組あっせん事業者の仕事だろう」というが、あっせん事業者では長期的な支援は難しい。
里親は公的な養育であるが、養子縁組は私的な養育である。というわけで、養子縁組は公的な支援の対象になっていない。たとえばフォスタリング機関は里親支援で里親について専念することになっている。