養育の難しさ

<「ほめて育てる」親は不適切>という記事を読んだ。

TBS系で放映されるドラマ「不適切にもほどがある」で、ひょんなことからタイムスリップしたオヤジの言動が今の常識にそぐわない。なかでも「期待しているよ」がZ世代には「ハラスメント」だと訴えられる。ほめて育てたい背景には「子どもに嫌われたくない」という親の自己愛も潜んでいるのではないか。―—というのだ。

私もどちらかというとほめて育ててきたと思う。とくに里親としては、子どもをいたずらに傷つけたくない思いから、ほめるようにしてきた。

今の子どもたちの多くが、人の前でほめられるのがいやらしい。で、考えてみれば記事にあるように、大人の側の「子どもに嫌われたくない」思いもあるのだろう。

里親の食育

完食指導をしている学校がいまだにあると聞いて、戦後まもなく、という感じがした。

それはともかくとして、里親家庭も子どもの食べ物への好き嫌いは悩みどころではある。また、想定しているより食の細い子どももいる。

我が家でも、以前、野菜の嫌いな子どもを預かったことがある。肉ばかり食べる。どうしようかと考えていると、妻は、そのうち食べるようになるわよ、と気にとめていない。それでいいのかと思っていたが、結局はそういう流れになって、問題はなかった。

里親のキャラクター「さとペン」

東京都は里親制度PRキャラクターとして「さとペン」を展開する。ペンギンは群れで協力してヒナを育てるところからペンギンを名前に入れた。

里親等委託率が全国平均以下なので、これから里親を増やしていくのにこのキャラクターに活躍してもらうという。ぜひ里親を増やしてもらいたいもの。他の地域でも知恵を絞ってもらいたいものだ。

もう十年近く前だが、千葉県でも動きがあって、千葉県の里親を独自の呼び方で広めようとして、一般公募した。その結果温暖な千葉を代表する菜の花を使って里親を「菜の花家族」と呼ぶことにした。しかしその後展開の案を持たないので、ポシャってしまった。

なにをどうしたいのか、どう展開するのか、アイデア倒れにならないようにしてもらいたいものだ。

関連するもう一つの問題

育休を取得して、終了間際に、保育園探しを行う。保育園に落選すると育休を延長できる。そのため、逆に、落選するような保育園を希望する。それができないように工夫しようと行政の方も考えているという。あれ、もう一方で、育休を取得するときょうだいの兄か姉の方が保育園を辞めさせられるんじゃなかったっけ。そっちの方が問題だと思うなあ、と考える。これは私の癖でもあるが、2つの問題のうち、一方だけを問題にするというような世の中の風潮が気になってしまう。

里親は育休の対象になっていない。一方の問題と言えば、独身でも里親になることができます、ということを考える。

独身でも里親になることができるなら、里親の育休を考えてくれたっていいではないか、と。

一方だけをことさらに問題にする前に、全体に関わっている別の問題も考えてみたほうがいいのではないか。

『里親だより』139号

編集を手伝っている2月発行の『里親だより』がネット上で見られる。

この号では、アメリカの里親制度がいい記事だったかな? 保護が長期にわたるようであれば親権を剥奪して養子縁組を行う。長期間の養育は里親や児童養護施設では行わない。たしかに、子どもにとっては安定した居場所が大事だ。いつ不安定な立場になるか分からない所では落ち着いて生活することはできない。

里親だより第139号 (2024冬号) | 公益財団法人全国里親会 (zensato.or.jp)

オヤカクと里親

就活で内定を得た学生に、企業が内定の確認のために親に確認を取るオヤカクが広がっているようだ。採用のシーンで方法が急遽変わることがある。10数年前には、それまで履歴書だけだったところにエントリーシートが加わった。志望動機などを詳しく書いてもらうわけだ。

今回のオヤカク、親が子どもの就職観などが分かって親にとってもいいのかも知れない。だけど施設にいた子どもや里親家庭で育った子どもたちにはちょっと荷が重いのではないだろうか。

非常に個人的なことだが、私が育った家庭は経済力がなく、お前を大学にはやれない、と中学生の頃から言われてきた。とくにこれがやりたいということもないが、今でいうモラトリアムな時がほしくて自分でバイトしながら大学に入った。就職も正面からは難しくバイトから正社員になった。この体験から『就職を成功させるアルバイト活用法』という本を書いた。

オヤカクなどの言葉を聞くと、いつまでも親の保証が必要な時代でいいのだろうか、と考える。子どもたちの方から、オヤカクなんてやめろと声があがるといいのだが。

一時保護に司法審査

25年6月から、児相の一時保護に納得のいかない保護者のために裁判所に一時保護状を請求して行うよう義務付けられる。これは保護の要件を明確にすることでもある。

これに先立って、来年度から、試行的な取り組みとして一時保護に司法審査を取り入れるという。児相が、虐待を疑われる子どもを保護者から引き離す際に、裁判所がその妥当性を判断するというものだ。