本『赤ちゃんをわが子として育てる方を求む』

コロナ禍のなかで、近くの書店はどこもお休み。『赤ちゃんをわが子として育てる方を求む』(石井光太著)を読みたいがまだ読んでいない。

広告によれば、岩手県石巻市で生まれ育った菊田昇医師の取り組みが内容。産婦人科医院を開業したのは、昭和三十年代のこと。

当時の私立の産婦人科医院の経営を支えていたのは、原則として公立病院では行っていなかった中絶手術だった。大きな港町には、一夜の遊びで孕んだ女性だけでなく、強姦された女性、だまされた女性、客の子を身ごもった娼婦などがたくさんいた。開業医はそんな彼女たちに中絶手術を施し、時には先述したように誤って生まれてしまった赤ん坊を殺害してあげた。石巻の闇を背負い、闇に葬るのが、仕事だったのだ。

菊田医師は、赤ん坊たちを養子に出して、何とか命を守りたいと動き出す。自分のやってきた後ろめたい過去を公表して、特別養子縁組制度をつくることに奔走する。